Live/Jhonny Winter and(ライブ/ジョニー・ウィンター・アンド) [音楽のこと(レビュー紛いの文章)]
音楽の効能も色々あるのだろうが、私の場合聞き終わってからスカッとしたい気分を味わいたいときには結構登場する機会が多い。
前のめりのドライブ感がひたすら痛快である。元々ブルースとかロックン・ロールに分類される人なのだろうがここでの展開は殆どそれらに名を借りたパンクみたいだ。テンションの高さ、ボルテージの高さ、ただもう凄いとしか言いようがない。毎度毎度こんなステージばかりを続けていたらいくらも経たないうちにへたばってしまうんじゃないのかと心配したくなるくらい気合いが入りまくっているのがひしひしと伝わってくる小細工抜きの直球勝負で全編を押し通す。「イッちゃってる」というのは例えばこういう音楽のことなのだろう。ストーンズのカバーであるJunpni' Jack Frashなどは本家よりも格好いい。2曲目のスロー・ブルース以外は全曲これレッドゾーンに入りっぱなしのアップテンポばかりで聴き手の心拍数が上がること請け合いでだ。ほんとに生きている間に一度くらいはこんなステージの観客になってみたいよ私は。
セカンドギターにリック・デリンジャーというのは今考えると何とも贅沢なメンバー構成だと思うし、当時こういう人達が入れ替わり立ち替わりプログラムされていたフィルモア・イーストという会場も今考えれば夢のような場所だったんですな。
私の手持ちは再発の米盤LPだが後半のメドレー途中あたりから急に音量が上がって質感がクリアーになり、ホールトーンが綺麗に再生されて左右の広がりが出始める。少々びっくりするが録音時の問題なのかカッティング時の問題なのかは分からない。そんなわけで残念ながら録音の質は今ひとつだが音楽の熱気はそれを補って余りある。
少し頭を冷やして考えてみると、ジョニー・ウィンターの音楽はブルースというカテゴリーの感覚的な枠からは僅かにはみ出しているところがあるようにも思えるのだがしかしこれは枝葉末節な含蓄であって、この人の音楽がしばしば巻き起こす無条件の熱狂を私は断固支持したい。アナーキーなノリのブルースマンというのもまた愛すべき個性ではあるまいか。ファイアーバードが似合うギタリストというのがまた何とも私好みで。
一枚聞き終わった直後でのテキストなので「えいやっ」とばかりの書き殴りで何ともまとまりがつかないのですが、直情的な衝動がストレートに出てくるプレイというのはリスナーにも何か同じような行動を促すものなんでしょうかね。
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