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田野城寿男さんのライブ in Bar Noise [音楽のこと(レビュー紛いの文章)]

去る11月26日、以前書いたとおり帯広市内のバー Noiseにて田野城寿男さんのライブに出かけました。
ご本人のブログでは既にアップロード済みなので後追いレビュー(紛い)となります。
http://www.tanoshiro.com/2007/11/live_at_noise_in.html

 当日会場だったBar NoiseのHPはこちら
http://www.mytokachi.jp/shop/barnoise/

 開場が18:30で私が着いたのはその10分後くらいだった。主催者様に名前を告げて当日販売のチケットを買い、空席を案内して頂くと何とまたしても最前列かぶりつきのスーパーS席だった。何だか恐縮でした。
 田野城さんはまだ到着しておらず、西村嘉洋さん(g)高橋憲司さん(b)のお二方が準備の真っ最中。とぎれとぎれに聞こえるお店のBGMは私が若い頃に血湧き肉躍らせたこれである。

フォア & モア

フォア & モア

  • アーティスト: マイルス・デイビス
  • 出版社/メーカー: ソニーミュージックエンタテインメント
  • 発売日: 2005/08/24
  • メディア: CD


 直接関係ない話だけど、私は「ジョシュア」のテーマを聴くと条件反射的に少々テンションが上がる体質のようだ。

 メンバーが勢揃いしてからのオープニングナンバーは前回芽室でのライブ同様ボサノバ・チューンからである。
田野城氏は演奏活動以外の色々で大変ご多忙らしく、少々お疲れのご様子らしかった。気のせいか何だか素人の私にはうまく説明できないのだが、出音というのはプレイヤーの体調と何かしら相関関係があるのかも知れないと思案しながら聴き入った。
 とは言え、そこはさすがにプロフェッショナルであって、曲が進むうちに尻上がりにトーンの厚みが増していく。ファーストセット中盤にはすっかりエンジン全開の模様だった。

 私にとっては多少の時間を置いて今回が二回目のライブだ。
考えてみるとこれまで、一人のミュージシャンの演奏を短い間隔で連続的に聴くコンサートの習慣が私にはなかった。
大きな会場で一期一会的に対峙するコンサートとは別の楽しみがこうした聴き方にはあるということを齢50近くになってやっと知りつつある。
 田野城氏のライブに接して改めて思うのは私自身がこれまで、いかに狭小な範囲で、重箱の隅をつつき回すような音楽の聴き方しかしてこなかったかということだ。お恥ずかしい話だが、確かにどこかでテーマを聴いたことはあるがタイトルを思い出せない曲が演目の中には結構あった。
 サックスプレイヤーのコンサートというと、どこかでジャズを期待している。ブルーノートスケールで演奏されるメロディラインとか、リズムは4ビートとかいう少々身勝手な思い込みが事前にあるようなのだ。
 しかし今回もこうしてコンサートに足を運び、演奏を聴かせて貰っているとやっぱりいい音楽はカテゴリーに関係なく良いのであって自分の期待のせせこましさを諭されているような気分も少々湧いてくる次第。カテゴリー以前に音楽はやっぱり「人」なのだなあと改めて感じた。

 とは言え、かれこれ足かけ30年来の音楽聴き人生としてはサックスプレイヤーの演奏を聴いていると誰かしら自分の記憶の中にある方との類似点を無意識のうちに探ってるようで、これはもう本当に一家をなしたプロフェッショナルに対して大変失礼千万とは思うのだが何とかお許し願いたい。
 ファーストセットの中盤、テナーサックスのフルトーンでブローする様子に断片的ではあるけど私はこの方を思い出した。
 前回のエントリー同様、舌足らずな書き方しかできないのは私の筆力や感受性に全面的な問題がある。田野城氏のスタイルは、部分的には誰かのようでありながら総合的には誰にも似ていないように私には聞こえる。

 ギターの西村嘉洋さんは今回、ベースマンが加わったことによってタイムキーピングのお仕事は軽減された分だけリフにオブリガードにコードワークにとまさに縦横無尽、随所に多彩なプレイを聴かせる。田野城様同様、誰かのようでもあり、誰にも似ていない。
 惨めな告白だが、コードを満足に押さえられないままにギターはほったらかしの私のような者にとってはまさに神業のフィンガーピッキングである。しかも今回、私はそのプレイを一メートルもない距離で凝視できるという僥倖にありついた。褌を締め直してもう一回チャレンジしてみようという意欲と、それにしたって私のような者は幾ら練習したってこんな風にプレイできるわけはないよな、という諦観が入り交じる。
 私がたまたま当日被っていた帽子にはジミ・ヘンドリックスのプリントがされていたのだが、これが西村氏の目にとまったようでインターミッションの時、声をかけられた。嬉しいような照れ臭いような気分でちょっとだけ話をさせて頂いた。こういう形式でのライブは何というか、色んな意味でぬくもりが感じられていいっすね。

 セカンドセット最後の演目は Just the two of us だった。

ワインライト

ワインライト

  • アーティスト: グローヴァー・ワシントンJR., ビル・ウィザード, ラルフ・マクドナルド, スティーヴ・ガット, マーカス・ミラー, エリック・ゲイル, ポール・グリフィン, リチャード・ティー, ビル・イートン
  • 出版社/メーカー: ワーナーミュージック・ジャパン
  • 発売日: 2007/07/25
  • メディア: CD


 私事ながら、この曲は私があんちゃんだった頃である20数年前、おねいちゃんを口説くときのBGMとして結構活用したのだ。口説きがうまくいった試しはなかったが今になって聴いてみると、色々と当時の臆面もなくこっ恥ずかしい言動が思い出されて実にこそばゆい気分が喚起された。過去が切ないのはそれが消えない事実だからだと改めて思う。
 
 ベースマンの高橋憲司さんはエレキベースでのプレイが長かった方と当日田野城氏のMCにはあった。当日はウッドベースにて堅実な縁の下の力持ちに徹しておられるように私には聞こえたが、この曲ではぐいぐいと前面に出てくる。エレキベースのプレイヤーにとってはやはり、マーカス・ミラーという存在は何かしら意識的にさせるものがあるのかも知れない。
 中間部のソロは過去に於いて私は散々聴きまくって全部暗記しているほどで、どうにもいじりようがなさそうに思える原曲のメロディーラインを当日田野城氏は一体どんな風に料理されるのだろうか、ソロのどこかでグローバー・ワシントン・ジュニアと同じフレーズをついつい吹いてしまうのだろうかとこれまた大変失敬な興味を抱きながら聴いていたのだが、これは私の見識のなさが丸出しになったゲスの勘繰りであって、アドリブ・ソロというのはプレイヤーの数だけ展開の仕方があるのだという余りにも当然の有り様を知った。我ながら恥ずかしい限りである。

 アンコール・ナンバー「千の風〜」にて終演となり、私は厚かましくもアフター・アワーズに参加させて頂いた。プロ・ミュージシャンの方と直接話をさせて貰えるなどというのは生まれて初めてのことで大いに緊張したが、田野城様ご本人を始め皆様大変気さくな方々で、訳の分からない新参者である私を快く受け入れて頂いた(というつもりに私はなっている)。
 田野城氏は拙ブログに目を向けてくださったことがあるようで「ジャズがお好きなんですねえ」というお言葉をいただいた。嬉しいような恥ずかしいようなというこれまた紋切り型の言い回ししか私の乏しい語彙からは出てこないのが情けない。

 駐車場の門限の関係でアフター・アワーズは中座せざるを得なかったのが大変名残惜しかったが最後に田野城氏、西村氏に握手して頂いて次回のコンサートにまた足を運ばせて貰おうと思った。田野城氏の分厚い掌のパワフルな感触、西村氏のセンシティブな感触、それぞれに強い印象を持ちましたです。(私は「ジミヘンの帽子の人」という記憶のされ方をしたようで、注意を引くものなのですかね?あの帽子は。)

 前回同様、ハッピーな夜でございました。
次回は12月15日、士幌でのライブだそうで、了見の狭いリスナーである私個人の希望としてはブルースナンバーを一曲入れて貰えると嬉しいなあ、という身勝手な希望を抱いているのでありますが・・・


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コメント 4

高橋憲司

遅ればせながらありがとうございました。
間近に居たあの方ですね!

ベースの高橋です。

田野城さんの演奏、相変わらずパワフルでしたね。

そしてshim47さんの記事、面白いですね。
鋭い観察でありながら、謙遜と暖かさに満ちていて、
面白く、かつホッとします。

私、エレキベースはそこそこ長いですが、ウッドベース初級者の私を起用して下さってありがたいやら、冷や汗もんやら、でした。
帯広近辺ではまともに活動してるウッドベース弾きは私と私の師匠であるジャズバー「B♭M7」のマスター佐々木源市氏ぐらいなもので、腕に似合わないチャンスをたくさんもらっております。

相当なジャズ好きのようですので、是非ジャズバー「B♭M7」の方にも足を運んでみて下さい。

また拝見しに来ます。
by 高橋憲司 (2007-12-07 11:34) 

shim47

高橋様 わざわざご拝読の上、コメントまでいただきまして有り難うございます。
みっともないブログですが、お褒めのお言葉をいただき恐縮至極です。
コンサートは大変楽しませて頂きました。またどこかで演奏を聴かせて頂きたいものです。

B♭M7は私にとって大変深い思い出のあるお店です。
宮本ビルの2階にあった頃、ということはもう30年近く前になるのですが、当時学生だった私は帰省中に毎日のように入り浸っていました。移転されてからは何とはなしに脚が遠のいたままになってちょっとした欠落感もありましたが、高橋様のコメントをいただいてお店を去来していった色々な方のことを懐かしく思い出しました。
 私は上客とは全く言えませんでしたが、近日中に一度、足を運ばせて頂きます。
by shim47 (2007-12-08 04:44) 

高橋

おぉ~昔のB♭M7に!
閉店してしばらくはやっていなかったのですが、
3年前くらいに生演奏のあるジャズバーとして再開しました。
http://www.genbass.com/
当時の店主であるじゅんこさん(ママと呼んでます)の旦那さんがマスターの佐々木源市氏です。ママも店に出ているので話をしてみたらいかがでしょう?
by 高橋 (2007-12-09 10:06) 

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