実録放送禁止作品 [書籍]
自動車を修理に出しているのでお仕事は終日家の中でデスクワークを決め込むことにした。
元来デスクワークは大嫌いなのでたちまち嫌気がさして煙草を買いにのコンビニまで徒歩で行くことにした。
近所の風景を眺めながらぶらぶら歩いていると日常随分色々なものを見落としていることに気づく。
私にはコンビニでついついしょうもない無駄遣いをする悪癖がある。元来甲斐性がないのに無駄遣いが好きなのだからこれはもう処置なしだ。一生金満生活とは無縁だと悟ってからもうだいぶ経つ。
本日の無駄遣いがこのムック。
総花的な内容で多くの事例が取り上げられおり、既に知っていることもここで初めて知る事実もある。事例はどれも掘り下げ方が浅く、物足りなさはあるが500円で暇つぶしをするには悪くない。
私は放送禁止になった流行歌のあたりを結構興味深く読んだ。中学生の頃、そのバンドの名前だけが一人歩きして結局聴く機会の無かった頭脳警察には今でもちょっと関心がある。
ロックを日本語で歌えるかどうかが議論の対象となっていた時代があった。もう30年以上前の話で今にして思えば苦笑せざるを得ないような話だが、世間全体が人間で言えば反抗期というか思春期というかそういう時代の産物である音楽だ。
何事に依らず、時節に阿った表現は時節の変化と共にその生命力を失っていくものだと常々私は考えている。今、このバンドの音楽を聴いて古びてしまった側面やいまだに新鮮さを宿している側面を確かめてみたいような気もするし、もっと他に聴きたい音楽があるような気もするし、何とも言えないが今は私のアンテナに引っかかった状態だ。
頭脳警察のバンド名はフランク・ザッパのデビュー盤の一曲に由来していることを私は随分後になってから知った。こちらは中学校の内に聴き親しんでいて、当時はまさかそんな関連性があるなどとは全く思いもよらなかった。
バンド名の元になったWho are the brain police?の歌詞をCDのライナーから転記してみる。
あんたはどうするんだろう、ラベルが剥げ落ちてしまったら
それで、プラスチックがみんな溶けて
クロームがグニャグニャになってしまったら?
頭脳警察ってのは、どいつらなんだよ?
あんたはどうするんだろう、あんたの知ってた人達が
溶けたプラスチックだったとしたら
解けたクロームもそうだったとしたら?
頭脳警察ってのは、どいつらなんだよ? (翻訳:茂木 健)
世界というのはいつの間にか、ここで歌われているようなものになってしまっているような気もするし、案外捨てたものでもないような気もするのだが、いずれにしてもバンド結成の時点でこの歌世界に注目したパンタという人のセンスはかなり鋭かったと思う。
中学生の頃の私が聴いていたのは和文のライナーノートもない輸入盤で、何のことを歌っているのかもチンプンカンプンだったのだがとにかく、何だか異様な感覚にとらわれたのは鮮明に覚えている。今に至るまで、私の意識に何か影響を与えているのかも知れないがとにかく、当時の私が相当ヒネたガキだったのは間違いなさそうだ。
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