La Dolce Vita/甘い生活(パパラッチの語源に気付く) [映画のこと(レビュー紛いの文章)]
いわゆるセレブな方々をつけ回しては下世話な記事を書き立てるゴシップライターや相棒としてコンビを組むカメラマンをパパラッチと呼ぶのが定着したのはいつ頃からだっただろうか。
語源を辿るとこの映画にあったようだ。
主演のマストロヤンニの相棒であるカメラマンのあんちゃんの名前がパパラッチの語源らしい。劇中台詞を聞き取った限りでは”パパラツォ”と呼ばれるから大体間違いないと見て良さそうだ。
カメラマンのお兄ちゃんに限らず、本作の登場人物は皆、夜の間は活き活きとしている。センチメンタルであったり、興奮していたり激情的であったり、様々な感覚が研ぎ澄まされ、溜め込んだ感情が解放される時間が夜なのである。その一方で夜が明けてあたりが白んでくると皆一様に表情は冷めてしらけた気分になり、退屈そうな怠そうな素振りに変化してしまう。
何の脈絡もなく連なる幾つかのシークエンスの全てにこの対比が共通項として埋め込まれているのが、直接的には現れることのないこの映画のモチーフだと私は見ている。個人的な経験で言えば若い頃に同級生たちと出かけた浜辺のキャンプの一夜にもそんな感覚があった。もの書きの先生たちには日中は家の中で居眠りをしたりその辺を適当にぶらついたりしながら過ごし、夜になってあたりが静まりかえると創作に没頭する人が結構多いらしいと何かで読んだ。
夜とか酒には何か、もう一つの人生があるように思う。人のありように奥行きを持たせているのはむしろ、そちら側の方なのかもしれない。
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