フォノカートリッジの交換 [再生音楽の聴取環境など]
注文していたフォノカートリッジが届いたので引き取りに行ってきた。午後からの外出になったがとんぼ返りで帰宅して交換作業に取りかかる。これまで何度も書いてきたように苦行である。8年間愛用してきたシュアーもこれで見納め。
サウザーLTA3の針交換は難解を極める。一つ一つ挙げつらっていくときりがないくらいややこしい。売れないアームだったので情報量自体が少ない。こんなゲテモノを手なづけたてみたくなるのは余程奇特な御仁だろう。以前輸入されていた頃には輸入元の専従者が幾ら頑張ってもラフなセッティングを出すだけでも一時間強を要したとか。購入当初は私も散々泣かされたのはこれまで何度も書いた通り。
途中の調整過程を写真付きで記録しておこうとも思ったが意味のない自己撞着になってしまうので省略。8年間難儀を避け続けてきたブランクが祟ったのと年のせいで視力が低下してきたため予想通りセッティングは難航した。テクニカのカートリッジは カンチレバーは極細、スタイラスは極小なので降下位置が見づらくシュアーのときより尚更面倒臭い。今回の所要時間は約2時間。途中写真を撮るなどという悠長なことをしている暇はないと自分に言い聞かせ、テンションをあげて取り組みながらこの有様だ。
センターマーカーがないのでキューイングはしづらいのが気がかり。とりあえず2時間後の姿。スタビライザーがないこととシュアーよりも約1グラム強重いカートリッジボディの事を懸念しながら音出しをすると悪い予感は的中して針飛びが発生し、暗澹たる気分に襲われた。三万円強をドブに捨てる結果だったかと落胆しながらタバコを立て続けに二本くらい灰にした後で気を取り直してリトライする。
合計12箇所の調整部分をあちらこちらとチマチマいじりながらどうにかこうにかトレーサビリティに問題ない状態にまで追い込んで時計を見ると午後7時だった。作業開始から実に5時間(!)、ヘッドシェルに取り付けるタイプのユニバーサルアームなら10分もあれば終わっているはずだ。おまけに私のターンテーブル、初期のオラクルはたった1グラムの質量変化に過敏に反応し、サスペンションストロークが狂ってしまったのでこちらのやり直しもあったのでほとほと疲れてしまった。若い頃だったからとはいえ、よくもまあこんな七面倒臭いものを相手に頑張っていたものだと我ながら妙に感心したりもする。(感心してくれる他人などおそらく皆無でしょうな)
オーディオテクニカのカートリッジはどれもチャンネルセパレーションが良い、という事になっている。30dBという数字はおいそれと達成できるものではない。ところが実際に音出しをしてみると以前のシュアーの方が左右方向の広がり感が出ていたのが腑に落ちない。但し左右方向の位置関係はテクニカの方が精密に出る。セパレーションの良さとはこういう側面に効いてくるもののようだ。入力ソースに対する適応範囲はシュアーの方が広かった。概してテクニカのカートリッジはエネルギーバランスで言えばミッドレンジが薄めでハイエンドにちょっとした強調感があるので現代的な録音に対しては効果的な性格付けだと思っている。音の質感としてはシュアーに比べてややきつめだが振動系が高感度なだけにトランジェントは鋭い。必然的に本日の確認用ソースはタイコ系統のものが多くなる。
ついたてスピーカーはこの手のソースに対するダイナミクスは望むべくもないが過渡応答の鋭さはよく出る。怠け者が柄にもなく何時間も根を詰めてあれこれ独り相撲をとり続け、やはり疲れたのか聴いているうちについ居眠りをしてしまいました。
お疲れ様でした。
何度見てもそのアームのサディストぶりには畏怖を感じます。
by だーだ (2008-11-24 06:33)
だーだ様コメントありがとうございます。
いや本当に疲れました。
なんといっても苦心惨憺して取り付けを終えた後の音出しで
針飛びを起こしたときの気分は毎度、何とも言えないものがあります。
意気消沈とはまったく、ああいうときの気持ちを表しているのですね。
by shim47 (2008-11-24 15:40)