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LTAとマッチングの良いフォノカートリッジのことを考える [再生音楽の聴取環境など]

 連休なので一日中あれこれLPレコードを聴きまくっていた。言い換えると一日中聴きまくっていても疲れないような音調が現在、メインシステムの音調だということでもある。いいことなのかそうでないのか判断はまだ定まっていないがこれまでどこかでそうなりたいと思っていたことは間違いない。

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 リラックスして聴けるようになった変化は昨日交換したフォノカートリッジに因る。事前に想像していたような変化は確かにあった。そういう想像が付く程度の場数は踏んできたことになるのだろう。 しかし、いざそのような環境に変わってみると以前、シュアーを使っていた頃の音調が懐かしく、回帰したい気分になったりもする。我ながら身勝手も甚だしい。

 そういう気分になる理由は一にも二にも今回新調したテクニカのカートリッジ、AT150MLXの音質だ。悪くはない。悪くはないのだが何というか、再生音楽の佇まいが変わった。これは数字や理屈で表しようもないのだがそれまで一人称で直接語りかけてきたものが三人称として誰かの説明を受けている感じ。何というか、音楽そのものが少し、遠のいた感じとでも言おうか。ディティールとかニュアンスはよりきめ細かくなったにもかかわらず、少々他人行儀な有りようとでも言おうか。20年位前、自分で無手勝流に改造したSPUからシュアーのUltra500に変更したときにも同様の感覚はあった。それがより軽く、より遠い方向にずれ込んで再現された感覚というのがさしあたり現在の私の受け止め方だ。

 テクニカの製品全般についてこれまで私が抱いていた印象はあながち誤解でもなかったのだが、これは善し悪しと言うよりは好き嫌いの領域だろう。感覚的にしか言い表しようがないのだがもう少しアクティブな表現を期待したい。元々「針飛びの心配がない選定」がトップ・プライオリティだったわけで、こんな腰の引け具合なので余り不平を言えた柄でもないのだが。

 それにしても音調については後回しでテクニカのカートリッジを選定したにもかかわらずやはり針飛びが起こるのは意外でもあり、少々落胆したりもした。ことトレーシング性能にかけてはシュアーと同等程度の評価でいたのだがこの機種については少々割り引いておく必要がある。もっとも使用環境が私の所はかなりヘンだからなのであって、オフセットアームに取り付ける分には全く問題ない。 劣る理由として考えつくのが以下の2点。

(1)カンチレバーの挙動を補佐するスタビライザーを持たない。(2)自重はシュアーV15TypeVxMRが6.6gに対してAT150LMXが8.3gであり、20%程度重い。

 (1)のダイナミック・スタビライザーについては元々シュアーのボディはお粗末なプレスであり、ハムやノイズを拾いやすいので再生中に静電気を逃がす機能も兼ねている。 従ってケースのシールド性を高めた結果が(2)の重量差だという想像は成り立つと思う。実際シュアーを使っていた頃にはアームに手を触れると軽いハムノイズがスピーカーから出てくることがたまにあったが今回のテクニカだとそのようなことはない。

 (2)についてはやはり問題で、どちらもカンチレバーのコンプライアンスについてカタログ上での表記はないが、同一条件でのカンチレバー側から見た応力負荷として考えた場合、20%の差はやはり無視できないはずだ。過去に重ねた失敗から、私はカンチレバーのコンプライアンスと自重の関係については神経質になる傾向がある。

 そうすると、オーディオテクニカには他に、もっとトレーシング性能の良さそうな選択肢があったことに気付く。AT33PTG,MCカートリッジである。

33ptg.jpg
こちらの自重は6.8g、シュアーとほぼ同じで標準印加針圧は1.8gなので振動系のコンプライアンスはむしろより堅めに設計されているはずで、私なりの憶測ではLTAとのマッチングはVM型よりも良さそうだ。今回は昇圧手段について考えがまとまらなかったので見送ってしまったのが反省点ということか。
それにしても、針飛びで悩むとは我ながらまた何とも情けない次元だ。大体今日日、2万円かそこらで買えるフォノイコライザーまで内蔵したターンテーブルだって余程手入れの悪い盤でもなければ針飛びなど起こすことなどないのに。
もっとも、AT150MLXよりもトレーシング性能には期待できそうだとは言っても同じテクニカの製品だからして、そう大きく音調が変わるとも思えない。(私のテクニカ観は常にいつもどこかで醒めたものがあるようだ)おいおい時間をかけて他の候補を物色し続けることにする。

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コメント 3

しょう

VxMRからAT-150MLXへの変更、かなり傾向の違うカートリッジですね。

VxMRは暖かく落ち着いた音で、ジャンルを選ばず使えるカートリッジだと
感じます。
対するMLXは繊細でクリアー、細かな音はVxMRよりもずっと拾ってくれるのではないでしょうか?

MLXのトレース能力はVxMRに若干劣る程度かなとは思いますが、
最後の手段としてはテンションワイヤーのテンション調整でもしかしたら
針飛びが改善されるかもしれません。

ただ当然音質は変わりますし、一度ネジを緩めてしまうと新品時のテンションを完全に再現するのは難しくなりますが・・

私自身は若干テンションを強めて、MLX特有の高域の輝きを抑えています。
by しょう (2008-11-29 16:56) 

shim47

しょう様 貴重なアドバイス有り難うございます。
ワイヤーのテンションを上げればカンチレバーのコンプライアンスも下がるので針飛びの軽減につながる、と想像してみました。
目見当でやらなければならないところがスリリングではあります。
by shim47 (2008-11-29 23:34) 

しょう

通常のアームにおいてのトレース能力では、ヤマハのMC-5が最高の
結果を出しました。
VxMR、MLX、その他私が持っている30本ほどのカートリッジの中で
飛びぬけて優秀なトレーシング能力でした。

なお、テストレコードで厳密に比較しています。

私のリファレンスプレイヤーでは、このトラックは全くトレースできません。
信号が鳴った瞬間に針が飛んでしまいます。

でも、音は一番良いのです。
by しょう (2008-11-30 00:25) 

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