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Sessions for Robert.J/Eric Crapton (セッションズ・フォー・ロバート・J/エリック・クラプトン) [音楽のこと(レビュー紛いの文章)]

 先月三日に中学校の同窓会があり、以来長らく疎遠だった以前の同級生達の間では交流が再開されつつあるようだ。何だか嬉しいような懐かしいような気分で私はここしばらくを過ごしている。過去を振り返りながら毎日を過ごすような時期に私はさしかかりつつあることになる。

 私は元来、我ながら嫌になるほど奇矯なところのある性分なので考えてみると中学校を卒業以来、途切れることなく続いてきた交友関係というのは本当に少ない。私の場合はカメラの指南役である同級生のIさんがその数少ない一人で、随分長いこと有意義なおつきあいをさせてもらっている。

 カメラに限らずIさんにはこれまで多様な啓発を与えていただいた。もしもこの交友関係がなかったら私の精神世界は相当に偏狭で色彩感に乏しいものになっていたに違いない。Iさんは随分と多趣味にして多芸な方で、私は時折おこぼれに預かるコバンザメを決め込むことが多い。

 Iさんは最近、音楽を聴く時間が増えてきたのだそうで愛好家の私としてはご同慶の至りというかまた共通の話題が増えたことになる。エリック・クラプトンに関心が向かったのだそうだ。

セッションズ・フォー・ロバート・J

セッションズ・フォー・ロバート・J

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: ワーナーミュージック・ジャパン
  • 発売日: 2005/01/26
  • メディア: CD

  功なり名遂げ、すっかり金満家となったクラプトンなのでいつかはこういう企画に手を付けるのだろうな、と以前から薄々予感はしていたがやっぱりやった。それは決して余興めいたものではなくリスペクトの込められた大真面目な出来上がりになるだろうとも予想していたがこれも当たり。端正とか生真面目というのがこの人のキーワードだと私は決め込んでいて、時に愚直なほど遊びやおちゃらけでプレイはしない、できない人だ。いつの音楽からもそれは伝わってくる。

 とまあ、わかったような講釈を並べているが実は私はクラプトンの良きリスナーではない。ミュージシャンとしてのエリック・クラプトンに対しては見当違いな思い込みに根ざした失望から敬遠していた時期がかなり長く、その音楽にシンパシーを抱くようになったのは月並みながらこの辺りから。我ながらミーハーっぽい気はして少々気恥ずかしいが。

チェンジ・ザ・ワールド

チェンジ・ザ・ワールド

  • アーティスト: エリック・クラプトン
  • 出版社/メーカー: ダブリューイーエー・ジャパン
  • 発売日: 1996/07/25
  • メディア: CD

 ロバート・ジョンソンへのトリビュートについては自身の音楽的出自とひたむきに向かい合った佳作という評価が多数を占める一方で、確たるアイデンティティを持った現在、何もカントリーブルーズのストレートコピーに精を出さなくてもいいではないかという批判も一部にはあるようだ。私としてはどちらの言い分にもそれぞれ共感するところはある。

 一生懸命鍛錬しました的な佇まいはブルーズの根本的な在りようにはそぐわないし、その歌いっぷりは所詮、イギリスの白人が物真似をしているだけではないのかといった醒めた目線はここでも払拭しきれない。おそらく本人にとってもキャリアが続く限り消えることのないわだかまりではないかと私は想像している。ただ、ここではカントリーブルーズの肌合いよりもクラプトンというミュージシャンの生来的な生真面目さに注目してあげても良いのではと思っている。これほどのビッグネームでありながらお殿様的な自己模倣に陥ることなく自分のアイドルの演奏をムキになってコピーしようとする姿は何だか微笑ましくはありませんかね?

  こういう企画盤に関心が向かうと、多少なりとも探究心のある方ならばオリジンの方に食指が動くのは当然の成り行きな訳だが件のIさんもこの例には漏れないようだ。

キング・オブ・ザ・デルタ・ブルース・シンガーズ

キング・オブ・ザ・デルタ・ブルース・シンガーズ

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Sony Music Direct
  • 発売日: 2007/01/24
  • メディア: CD
キング・オブ・ザ・デルタ・ブルース・シンガーズ VOL.2

キング・オブ・ザ・デルタ・ブルース・シンガーズ VOL.2

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Sony Music Direct
  • 発売日: 2007/01/24
  • メディア: CD
 スタートであると同時にゴールでもある音楽。一周回ってたどり着く。色々考えるに、私にとってはここに根ざした音楽は殆どすべてが許容範囲ということになりそうで、これまで色々誤解もあったがエリック・クラプトンはそういったミュージシャンのうちの一人なのだと気づくまでに随分長い時間がかかってしまった。Iさんに拝借したこのCD/DVDであらためて知った。本作はCDよりもDVDのほうに主眼があるようで、私も借りるばかりではなくひとつ買い込んでこようかと思い始めている次第。

 

 

 


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