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よくある日曜日の過ごし方 [身辺雑記]

私は元来、何事につけ怠慢な人物だと思う。

5年ほど前まで、会社員だった頃にはこれまで何度も書いた通り年がら年中働き通しで土曜日の出勤は当然のこと、日曜日や祝日でもデスクワークの残務のために出社することは珍しくなかったので、たまの休みには一日中、自宅でグダグダと中途半端に何かをやってはうたた寝を決め込むのが楽しくてしょうがなかったものだ。

 貧乏自営業を開業してからは生来の怠け癖を律する必然性が薄れたので、なんとか食える目処が立てばそれ以上は働かないことにした。少しく稼ぎ怠惰に暮らす日常はすこぶる呑気なもので、日曜日などは以前にましてぐうたらな時間の過ごし方を決め込んでいる。活動的という言葉にはどこまでも縁がない。

 会社員だった頃、週末の深夜はにがーいコーヒーをすすりながら夜更かしをして音楽を聴き通すのが習慣だったが自営業になってからは控えるようになった。深夜の音楽は程々にしておいてとっとと床に就き、日曜日の朝食後、掃除を済ませてすっきりした状態で音楽を聴くことが増えた。気のせいか、睡眠を取って体を休ませた後の方が聴覚も感度が高い状態にあるように思えている。

ズート

ズート

  • アーティスト: ズート・シムズ,ジョン・ウィリアムス(ピアニスト),ノビー・トーター,ガス・ジョンソン
  • 出版社/メーカー: ユニバーサル ミュージック クラシック
  • 発売日: 2003/04/23
  • メディア: CD

  日曜の午前中にレコードを聴くようになってから取り出す頻度が高くなってきたミュージシャンのうちの一人。若い頃の私はあまり熱心に聞き込まずにいたが、歳を取ってから接してみると妙にしっくりくるプレイヤーだ。 近年の私は朴訥な感じの音楽を好む傾向がある。いろいろな意味で温和というか円満な音楽が日曜日午前中には馴染みが良さそうだ。

 夕方近くになってやおら外出を決め込み、どこぞで夕食を済ませて帰宅する。

 平日の私は、朝以外は殆どテレビを見ることがない。どうせくだらない番組ばかりなのだからテレビなど見ているくらいならソファに寝転がって居眠りでもしているほうがましだとさえ思っているほどだ。 但し日曜の夜はちょっと事情が違ってNHKの「世界ふれあい町歩き」を見る。私の住む土地では午後11時35分から総合テレビで放送されるこの紀行番組が妙に好きだ。一週間のうち、明確に目的を持ってみる殆ど唯一の番組ということになる。

http://www.nhk.or.jp/sekaimachi/gtv/index.html

 リポーターは登場せず、撮影スタッフがステディカムを担いでその土地を歩いて撮りおさめて編集した動画に後から俳優がカメラマンの視点でナレーションをかぶせた一人称形式の番組である。どうも私は物心ついた頃から「ここではないどこかに当て所もなく旅立つ」とか「遠いところから来た風来坊として振る舞う」というシチュエーションに心惹かれる傾向がある。実際には入念な事前調査があるにせよ、少なくも表面上は行き当たりばったり風で、自由と心許なさの入り交じったようなこの番組の手触りは日曜日の深夜という時間帯が及ぼす心象風景と相まってか、何かしら私の本能をくすぐる作用があるらしい。年がら年中根無し草のように世間を浮遊しながら手探りで生きている私自身の投影なのかもしれない。

 四月からの番組改編以降、金曜日の午後10時45分からの放送となるのだそうだがNHKのセンスもあまり感心出来たものではないな、と思う。この番組はせっかくの休日を怠惰で無為なものに終わらせてしまったことへのささやかな反省と後悔を噛み締めながら見ることで味わいが出てくるもののように思えているのだが。

 


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