SSブログ

黒いターンテーブルについて(その2) [再生音楽の聴取環境など]

 先にアップロードしたテキストにコメントを頂いて返事を書いているうちに私事について書き記しておきたくなったわけです。

 実は我が家には一台、黒いターンテーブルがあるのですよ。数年前にオークションで手に入れたもので、最初はSL-01を狙ってあれこれ物色していたのだがなかなかうまくいかず(入札についてあれこれ思案しているうちにたちまち落札されてしまう)、半ば代用品のようなつもりで比較的呆気なく落札出来た。

 パイオニア製のPL-1800がそれである。
pl-1800.JPG

つや消しブラックのSL-01に対してこちらはピアノフィニッシュのような光沢があってちょっとばかりエレガントな趣がある、と、私は勝手に悦に入っている。但し黒さの行き渡り方については徹底度が少々甘い。

 本当は自分の持ち物の写真を撮って掲載したかったのだがフラッシュの光が反射してひどい写り具合ばかりなので仕方なくネット上の画像を貼付けさせていただいた。
 技術的にはクォーツロック前夜の考え方で、回転精度の検出にホールセンサーを取り入れたところに新味があるが結局は徒花に終わった。しかしグリーンの回転数表示とオレンジ色のストロボスコープの光がが黒光りするベース部分に漏れる様子は視覚的に結構そそられるものがある。

 パイオニアとしては恐らく過渡期の製品で、未消化ながらあれこれと新しい試みもある。残念ながら回転部分にまでは手が付けられていないが黒いトーンアームはその一つで、アームパイプにカーボンファイバーを用いたものとしてはかなり初期に属するのではないだろうか。
 アームの挙動はかなりピーキーで装着出来るカートリッジはミドルマス以下に限られると思う。LP末期の頃の製品作りというのは殆どのメーカーが高感度追求のためムービングマスの低減に血道を上げていたような状況で、特に大手の電気メーカーはでかい図体(組織)とべらぼうな開発能力にものをいわせてトーンアームといいフォノカートリッジといいちょっとやり過ぎではないのかと思えるほど軽針圧動作にこだわりまくった。

 本機のアームもこれ用に開発された特殊なベアリングが奢られている。高感度それ自体は結構だがやたらと軽いアームパイプにこの軸構造で、しかもここだけは不親切なことにカウンターウェイトには印加針圧の数字が書かれていないのでフォノカートリッジを交換する度にフワフワと不安定なラテラルバランスに難儀し、針圧計を持ち出しての音決めになるので、カートリッジをとっかえひっかえしながらという楽しみ方にはやや不向きかもしれない。私の場合は手元に残してあったオルトフォンのVMS-20がうまい具合に収まったので以後、いじっていない。

 音質そのものはその後のPL-70の方が上だと思うが私はこの黒い物体が結構気に入っているのでデスクワークをする仕事部屋のシステムとして結構活用している。


nice!(6)  コメント(4)  トラックバック(0) 
共通テーマ:趣味・カルチャー

nice! 6

コメント 4

いっぷく

黒の重厚感がありますね、存在感があります。
レコードを出してターンテーブルに載せて針を落とす。
そういう作業と音響システムのヴィジュアル的な環境があって
音楽を楽しむというのに慣れ親しんだ者にとって、デジタルな
超小型機器での音楽の再現はいくら良くても物足りなさが残ります。
by いっぷく (2009-11-07 12:38) 

shim47

いっぷく様 コメント有り難うございます。
CDの売り上げはここ数年伸び悩んでいるのだそうです。ディジタルデータである以上、どこかの時点で実体を持ったパッケージメディアは衰退してデータ配信という形態に吸収されていきそうな予感が私にはありました。
 してみると、アナクロチックな記録形態であるLPレコードの方がむしろその生命力があったともいえるわけで私のような者にとっては嬉しい皮肉とも感じられるのです。
by shim47 (2009-11-09 10:12) 

柴犬

SL-01ですが、かなりの確立でクオーツがダメになって暴走してしまいます。
同様の状態になっている物も何台も見ました。
オークションで「回転OKでした。」となっていても、常時使用していると、いつクオーツがダメになって高速回転をしだしてもおかしくない機種です。
(そうなると回転させながら裏をあけてICの部分を触るとめちゃくちゃ熱くなっています。)
私も以前使用しておりましたが手を出さないほうが無難です。

テクニクスもSL-1200やSP-10のマーク2以降はいきなり信頼性が上がり、殆どクオーツが故障して暴走ということがなくなるのですが・・・

by 柴犬 (2009-11-29 18:22) 

shim47

柴犬様 コメント有り難うございます。
貴重な情報有り難うございました。酸っぱいブドウを眺める狐の気分でしたが思い切りがつきそうです。
 私はSL-1200やSP-10のクォリティでテクニクスのターンテーブルを評価していた事になるわけですねえ。比較的ローコストな製品でも使えるメーカだという思い込みがあったので少々意外です。外見を眺めている限り(現物を拝んだ事は結局ありませんでしたが)随分そそられるターンテーブルではあったのですが・・・
by shim47 (2009-12-08 01:47) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。