The Greatest Jazz Concert in the World(1) [音楽のこと(レビュー紛いの文章)]
例年であれば年末に向けてのかき入れ時なのでがつがつ働いて小金を稼いでいるはずだが今年は肩の不調もあってどうにもモチベーションが上がらない。どうせ本日は日曜日なのだからいっそのんびり一日中レコード三昧で過ごすことにした。
以前にも書いたことがあるが、LP数枚にも及ぶボックスセットを一気に聞き通せるのはやはり若い頃の一種特権であって、歳をとってくると結構大儀である。一種、覚悟を要する営為とでもいうのだろうか。
コンサート録音のボックスセットにはあるミュージシャンのステージを最初から最後までほぼ収めたものと、ジャム・セッションとかフェスティバル形式のものを編集したものとに大別されるのだろうが、歳をとると堪え性が無くなるのか後者のほうに手が伸びることが多くなった。
同じ編成、同じメンバーの音楽で音だけを聞いて約2時間集中力を持続させるというのはやはりある種、鍛錬を必要とするように思える。間違いなく下り坂だな、私は。
そんな集中力の低下とか、嗜好の変化を反映してか、本日私が棚から引っ張り出してきたのは
The Greatest Jazz Concert in the World
- アーティスト: Duke Ellington, Ella Fitzgerald, Oscar Peterson
- 出版社/メーカー: Pablo
- 発売日: 1991/07/01
- メディア: CD
LPレコード4枚セットのThe Greatest Jazz Concert in the Worldときたもんだ。凄いタイトルである。
かのノーマン・グランツが主催するJATPの60年代版ステージなわけだが参加メンバーなどを見ていると確かに看板に偽りはない。本当にグレーテストだ。チケットは一体幾らくらいだったのだろうかと余計なことを想像してみたりする。モダン・ジャズ以前の大立者がずらりと並ぶ。おまけに何と、これら千両役者をバックにT-Bone WalkerがStormy Mondayを歌ってくれたりするのだ。全体に演奏の荒さが目につく場面もあるが徹頭徹尾聴き所満載。
本作は確か、国内盤としてリリースされなかった。理由は簡単に察しがついて、スイング・ミュージックのお祭りステージ録音などセールスが見込めないとの見方が働いたからだろう。本当に残念な話だ。
Amazon.comで見てみると、現在本作はCDでもリリースされていて確か2枚か3枚で収まる収録時間なのだ。取り回しが楽になったCDフォーマットでこそ、本作のような長時間収録の愉しさは生きてくるように思える。録音時期が時期なので参加メンバーの中には結構よれ気味のお方も見受けられるが、どこかに必ず耳をそばだてたくなるような局面はあると思う。
モダン・ジャズ以前のスタイルで、これから何か手を付けてみたいと考えておられるリスナーの方がおられるとしたら、案外本作などはお得なセットではなかろうか。(この項続く)
補足;この後のエントリーで書こうと思っていましたが、T-Bone Walkerのセットは本作の白眉です。私にとってのジャズはやはりブルーズに根ざしたある世界の中の一分野だったのだなあと今日改めて再認識した次第。
かっこいいっすよね、T-Bone Walker
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