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面妖なる踊りと糞飯(敢えて誤字)モノのパフォーマンス(2)   [身辺雑記]

とりとめもなく書きたい放題のことを書く。

(その2)私が中学三年生の頃、どこの中三もそうであるように修学旅行という行事があった。修学旅行には幾らかの小遣いを持って参加する。と、ここでK君に再び登場していただく件となる。

 K君は焦っていた。理由は不明だが、手元にお金が欲しかったのだろう。修学旅行で持参する小遣いには、額の上限が定められていた。K君の家は特に貧乏でも何でもないごく普通の家であり、小遣い銭に不足するとはどうしても考えられなかったのだが、なにせK君はなるべく沢山のお金を修学旅行の前にかき集めておきたかったようだ。

 ある日、K君には妙案が閃いた。
当時、私の通っていた中学校には結構近代的な体育館があった。そして、体育館のトイレは構内で唯一、水洗便所だった。(和便だが)
K君は、日頃イジリにイジリまくっている某子分各をトイレの入り口に立たせて見張り役とした。そして数人集まったギャラリーからぬかりなく百円ずつを徴収した。当然、私もその中に混じっていた。
 息を呑むギャラリーをK君は悠然と睨め付けてから大便を済ます方のパーティションに向かい、ギャラリーたちは後に続いた。ドアを閉めずにK君は和式便器をまたいだ。
ギャラリーたちは開け放たれたドアからめいめい頭を突き出し、K君の挙動を凝視する。
K君はベルトを緩めて学生ズボンをずり下ろしてしゃがんだ。
それから、顔面を紅潮させて下っ腹に力を込めると、衆目の見守る中、
もりもりと野太い雲古をひりだしたのであった。

このパフォーマンスは、その日のうちにとてつもないセンセーションを学校中に巻き起こした。
 味をしめたK君は、翌日、再び同じ場所で同じことをした。
しかし、その日の稼ぎを終えたK君は少々浮かない面持ちだった。
聞くところによれば、たった一日で、ギャラリーは倍増していたのだそうだ。
しかし、トイレのドアからのぞき込める頭の数には限度がある。様子がよく見えないということで、一部ギャラリーからはブーイングが出たらしかった。
K君は真剣に悩んでいた。
人間、一日にそう何度も景気よく雲古ができるわけではない。
一度のパフォーマンスで懐に入ってくるギャラはせいぜい800円である。
これでは効率が悪くはないか?
修学旅行の日取りは段々迫ってくる。時間がない、もっと稼ぐ方法はないか?

こういうとき、というよりもこういうシチュエーションにおいてのみ、私の頭脳は冴えに冴えまくることになっている。バーゲンセールをやってもいいくらい次から次へとアイデアが湧き出してきたのである。

 翌日、K君は例のパフォーマンスの準備を始めた。
トイレには10人以上のギャラリーが詰めかけていた。前回のおよそ2倍の人員である。K君は当然のようにギャラリー全員から100円ずつを召し上げた。
その場面を見られずに不満を述べる者は結局、現れなかった。
K君はその日、誰もが満足できるパフォーマンスを披露してさらなるセンセーションを巻き起こした。
ギャラリーは倍増、ギャラも倍増。ひりだした雲古は昨日と同じく一回。
これはマジックでも何でもない。私の提案による成果である。
すなわち私は、K君の尻からひり出された雲古の落下目標を、便器ではなく便所の床、ど真ん中あたりにと変更すべくK君に進言したのであった。
かくして雲古をたれるK君の周囲360度をギャラリーが取り囲むようにしてパフォーマンスはなされた、その成果である。

K君は収入倍増でほくほく顔だったが困った副産物もあった。
落下場所が床のど真ん中、ギャラリーはK君を取り巻くようにしてすし詰め状態。
パフォーマンスが終わって、便所からずらかろうとするその時、誰かが床に放置されたK君の雲古を踏んづけたらしい声を張り上げた。
便所にはパニックが発生した。ギャラリーは雪崩を打ってドアに殺到した。
ドアは室内に向かって開く形式だったのだ。
誰かが思いきりドアを開けた拍子に、我々はドミノ倒しの様に便所の奥に向かって一斉によろけた。それで本当に、雲古を踏んづけた奴がいたような気がする・・・

 その日の夕方のホームルームで、担任の女教師は暗澹たる面持ちで体育館のトイレの床に雲古をたれた不届き者がいる旨を告げた。
 私を含めて、関係した者たちは皆、下を向いて血管が切れそうになりながら笑いをこらえた。こういう反応は全く持って不届き千万だと今になってみて思うのだが、私は本当に土性骨が不届きの塊で出来上がっているのだろう、その日の放課後、私はK君にさらなる増収のための秘策を進言していた。

そのスペシャルな秘策とは、K君のひり出す雲古の色をあてるギャンブルを主催しようという提案だった。
K君は1も2もなく乗ってきた。金の力は偉大である。
しかしこの試み、大幅増収計画は見事に頓挫した。
大体どこのクラスにも、こういったセンセーションに眉をひそめる奴がいるものだ。
私達の計画は、同級生の女が担任に密告したことで潰えた。
現行犯だったのだ。しかもウンの悪いことに、担任はK君の脱糞直後に、現場を押さえたのだった。

現場にいた一同は、ペナルティとして床に残されたK君の雲古を始末する役を負わされた。掛け金は全てK君の懐に転がり込んだ、金のことはばれていなかったのだ。

 実は私には浅ましい皮算用があった。増収のためのアイデア提供者として幾ばくかのロイヤリティの請求を仄めかしたのである。
 しかしK君は度し難いほどの業突張りであった。彼は、金が欲しかったらおまえも雲古をたれてみろと言い放ち、ついにびた一文たりとも私にはお恵みを施してくれることがなかった。
 かくしてK君は潤沢すぎるほどの小遣いを懐に入れて修学旅行に臨んだ。

そして根性の曲がったこの私はというと彼の強欲ぶりを30年経った今でも深く根に持っているのである。 


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