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At the Cafe bohemia,vol.1&vol2/Art Blakey & The Jazz Messengers(カフェ・ボヘミアのジャズ・メッセンジャーズ/アート・ブレイキー) [音楽のこと(レビュー紛いの文章)]

 あーでもないこーでもないと能書きの多い私だが、能書き無用の音楽だって当然好きだ。とにかく聴きまくったもののうちの一つがこれである。

カフェ・ボヘミアのジャズ・メッセンジャーズ Vol.1

カフェ・ボヘミアのジャズ・メッセンジャーズ Vol.1

  • アーティスト: ザ・ジャズ・メッセンジャーズ, ダグ・ワトキンス, ホレス・シルバー, ケニー・ドーハム, ハンク・モブレー, アート・ブレイキー
  • 出版社/メーカー: 東芝EMI
  • 発売日: 1995/07/26
  • メディア: CD


カフェ・ボヘミアのジャズ・メッセンジャーズ Vol.2

カフェ・ボヘミアのジャズ・メッセンジャーズ Vol.2

  • アーティスト: ザ・ジャズ・メッセンジャーズ, ダグ・ワトキンス, ホレス・シルバー, ケニー・ドーハム, ハンク・モブレー, アート・ブレイキー
  • 出版社/メーカー: 東芝EMI
  • 発売日: 1999/01/27
  • メディア: CD

 かのウィントン・マルサリスが現れてから再度脚光を浴びるようにはなったものの、私がジャズのレコードを漁り始めた27.8年前などは、アート・ブレイキーなんていうのはもう完全に終わった人扱いでメッセンジャーズの新譜が出ても一番小さいコラムで星が三つ程度の評価しかもらえない有様だった。
 70年代後半のフュージョン旋風は実にまあ凄まじく、アコースティック楽器でジャズを演奏する人というのはコルトレーンとマイルス以外はみんな時代遅れのオールドタイマーでレコードなんか買う価値もない人々みたいな扱いさえ受けていたのだ。

 親分のドラミングは素晴らしいの一言に尽きる。ナイヤガラ・ロールばかりが有名になりすぎた嫌いがあるが、ブレイキーは決して力押しの粗野なドラマーではない。オープニングナンバーのSoft winds一曲でおわかりいただけると思うが、実はアート・ブレイキーの本領はバッキングにある。ソロイストや局面に応じて実に多彩なアクセントをつけ、タイコだけを聴き続けていてもわくわくするほどカラフルである。
エルビン・ジョーンズが新たなスタイルを創造する以前の3大モダン・ドラマーの称号はダテじゃないのである。
 メンバー全員にとっての代表的名演とも言えるが、白眉は人で言えばケニー・ドーハム、曲で言えばMinor's Holidayが凄い。ドーハム名義でスタジオレコーディングされた同曲とは全く別の緊迫感溢れる展開となった。トランペットソロは前後2回あり、後段はステージ上でのハプニングだがエンディングのテーマ合奏直後にドーハムが吹き足りないからもっとやらせろと言わんばかりに突っかけてくる。その切羽詰まった前のめりの勢いとナイフで斬りつけるように鋭利なパッセージは何度聴いてもゾクゾクするようなスリルに満ちている。ここでの熱演に比べたら後年の"Quiet Kenny"などは風呂の中で屁をこいているようなもので何ともしまらない(まあ、あれはあれで一つの個性というか、表現なのだけど)。
 技巧に乏しいとか、哀愁のトランペットだとか言う人はきっとここでのドーハムを聴いたことがないのではなかろうか?ちなみにステージ上での飛び入り乱入でマイルス・デイビスとの吹き比べでは一勝一敗の引き分け(マイルス自伝より)の戦歴を誇る、れっきとしたファイターだったのだ。
 
 他にも、強力なバウンスのダグ・ワトキンス、渋いトーンで迫るハンク・モブレイ、スローテンポの曲がないのでボロを出さずにいいとこだけで切り抜けるホレス・シルバー等々皆さんがびしびしと決めまくる。私にとってはハード・バップそのものの一枚(実は2枚か)。のちに傑作を多数輩出するメッセンジャーズの旗揚げであり、しかもライブだ。悪いわけがない。


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