玉光堂の閉店に思う [再生音楽の聴取環境など]
20年来、LPやCDを買い続けていた玉光堂が一件閉店となった。
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私の住む土地ではまだ2店舗残ってはいるが、それにしても何だか寂しい話だ。
それまで数カ所、転勤生活を続けていた私が田舎に戻ってきたのが22、3年前で、それから1,2年してから鳴り物入りでオープンした玉光堂はたちまち地元のレコード屋さんや楽器屋さんを蹴散らして地域に於ける覇権を確立したのであった。(と書くと何だか大袈裟なのだが)
少し離れたところにあるWAVEに行ってみるとこれまた店内が閑散としていて何とも寒々しい。えさ箱はごっそり撤去されて店内がスカスカなのだ。
20年前はLPレコード断末魔の時期だった。買い逃したくない一心で安月給からない金を振り絞ってまるでこちらの足元を見透かすかのようなしょうもないシリーズものをあれこれと買い込んだ。(そんな風にして大人買いしたレコードというのはまず、ロクに聞きもしないまま棚の中で眠り続けるものなのだが)
最後の一滴でどこかに掘り出し物は売れ残っていないだろうかと、それまで行ってもいなかったレコード屋さんのえさ箱を次から次から漁って歩いたのは何だか懐かしい思い出だが、これから先はきっと、パッケージングされた音楽を店頭で手にとって購入する場所はどんどん減っていくのだろう。
LPだCDだ、テープだディスクだといった記録形態の問題ではなく、音楽パッケージという実体そのものがどんどん手近でないところに遠のいていってそのうち実体は消滅してしまい、やがて全てはディジタルデータとしてネット配信による販売のみになるのはそんなに遠い日ではないような気がする。
えさ箱からレコードをつまみ上げてジャケットを眺め、刻み込まれている音楽を想像しながらどれを買おうかと思案していたあの時間は戻ってこない。
唐突だが、私の兄はWindows NTというパソコンのOSが登場した時点で今日のこの状況を言い当てていた。文字、画像、音声、ディジタルデータは次から次と実体を消し去っていく。そんな過程を目の当たりにしながら私は段々とオールドタイマーになっていくわけだ。
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