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魅惑のスタンダードベスト24/サム・テイラー その1 [音楽のこと(レビュー紛いの文章)]

 釣りの会の幹事さんである某氏の奥様が久しぶりに昔買ったLPレコードを聴いてみたいということで,だいぶ以前に購入したというセットステレオ(モジュラーステレオなんて言う呼び名がありましたな)の動作を調べにご自宅にお邪魔させて頂いたことがあった。
 レコードプレイヤーはピックアップのリード線が断線気味だったので使用を諦めていただき、リサイクルショップへ行って五千円くらいで売っていた動作品を買ってきたのです。

 ご夫婦は私が良くジャズを聴くことをご存じで、プレイヤーを繋いで音出しを確認した後に旦那様は「そうそう、うちにもなんかあったよな」と気を利かせてくれて納戸を探し、「これは良く聴いたんだよ」と差し出してくれたのがサム・テイラーのレコードだった。
 日曜日の昼間、団塊世代のご夫婦宅にお邪魔して居間で朗々と鳴り響く「ハーレム・ノクターン」に襟元を正して聴き入るのは何とも説明しがたい気分だった。

 ご主人から手渡された豪華なダブルジャケットを開いてみると30センチ四方の面積にサム・テイラーの大写しが印刷されていた。今考えると写真にでも撮っておくべきだったと私は大変後悔している。
 それはシルクハットをかぶり、浴衣を着てテナーサックスを吹くポーズを取るサム・テイラーの勇姿だった。いや、ベタな姿でしたよ。極めつけといってもいいくらいだ。ネット上のどこかにあの画像が転がってはいないかとあれこれ探してみたが見つからなかった。大いに残念である。

 ここで私は先に書いた「何とも説明しがたい気分」について書いておかなければならない。
これはきっと私に限った話ではないはずだ。現在40代半ばくらいの方々にとっては余りにも紋切り型な話だろうが、私はこの、「ハーレム・ノクターン」を聴くと何か見えない力によって強制的に連想させられることがある。
 それは私が未成年の頃、ラジオの深夜放送で笑福亭鶴光がパーソナリティを務めていた「オールナイトニッポン」でのミッドナイトストーリー(だったかな、正確に思い出せません。歳だな・・・)である。あれをニヤニヤしながら聞いていた小僧の頃のあれやこれやをどうしても思い出さずにはいられなくなる。
 何というかこの、淫靡な、卑猥な、いやいけない、ブログにこんなことを書くのは憚られるのだろうが、子供の頃の私はこのテナーサックスという楽器の音色に何かそういうことを連想するように刷り込まれていたことを自覚してその時大変恥ずかしい気分になった。
 私にとってあれはどう考えても日曜の昼間、他人様のお宅にお邪魔して聴かせて頂く音楽ではない。ご夫婦は私と世代にずれがあるためなのだろうが、鶴光のことはご存じないようで、私のように変な連想は働かなさそうに見えた。そのレコードを買った新婚当時の生活のご様子などをあれこれ聞かせて頂いたが、ともあれその日私は少々気恥ずかしい気分でお暇した次第である。

 
ピンク色のテナーサックス、いや、本当にベタだ!(続く)


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