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魅惑のスタンダードベスト24/サム・テイラー その2 [音楽のこと(レビュー紛いの文章)]

前回http://blog.so-net.ne.jp/r-shim47/2007-04-20の続き。

 我ながらしょうもない話題だとは思うのだが、サム・テイラーに限らずしょうもない話題をあれこれとほじくり返したくなるのがきっと私の性分なのだろうと思う。

 ここで誤解のないように申し上げておきたい。
私は別に、サム・テイラーの音楽をしょうもないと思っているわけではない。
ましてや、サム・テイラーを以前愛聴していた件のご夫婦の趣味をしょうもないと思っているわけでは断じてない。
しょうもないのは私の意識の有り様なのだ。整理というか、以下自己分析。(1)→(4)と連想が働く。

(1)テナーサックスで演奏される音楽
(2)サム・テイラーのハーレム・ノクターン
(3)鶴光のミッドナイトストーリー
(4)敢えて書きません。

 いや、我ながら情けなくなるくらいしょうもない。

 話を元に戻す。
帰宅してから私は何だか頭の中を整理したくなっていた。件のご夫婦にとって、サム・テイラー演ずるところの「ハーレム・ノクターン」がれっきとしたジャズであることを私なりに理解したいと思った。
 
 考えてみれば私のレコード棚の中にはサム・テイラーがサイドメンとして参加しているものが確かに幾らかはある。しかし本人の演奏がうんとクローズアップされた記録となると、やはり来日してから後の演歌テナーを避けて通るわけにはいかない。
 それで私はあるリサイクルショップへ行って十把一絡げでコンテナにLPレコードが押し込まれている一角を漁ってキャニオンレコードから発売された「ゴールデンベスト16」を見つけ出した。あるところにはあるものなのだ。値段は何と105円。まるでゴミ扱いである。サム・テイラーが何だか気の毒に思えた。
 収録曲はこれと結構重複している。

魅惑のスタンダードベスト24

魅惑のスタンダードベスト24

  • アーティスト: サム・テイラーと彼のオーケストラ
  • 出版社/メーカー: ポニーキャニオン
  • 発売日: 2003/10/16
  • メディア: CD


 私見としては演奏技法に於いてジャズは結局、パーカッションとリード楽器の可能性を追求する音楽だったのという見方は成り立つと思う。そしてリード楽器、サックスといえばやはり開祖であり原型を築いたのがコールマン・ホーキンスであることは疑いようがない。

 テナーサックスを吹く、という行為は殆どコールマン・ホーキンスをどのように相対化するかという命題への取り組みと言えなくもないのではないだろうか。大袈裟な話でなく、私は真剣にそう思う。これは時代の新旧には関係ない話だ。

 冷静に聴いてみれば、演歌テナーの王者サム・テイラーの演奏スタイルはホーキンスの語法に多くを負っている。しかもかなり優等生的なフォロワーである。更に突き詰めれば、ジャンプ・バンドでの演奏歴が反映されてか塩辛っぽいホンキングを多用してソロを盛り上げる傾向がある。この辺はアーネット・コブあたりとも一脈通じる。ある意味テナーの王道だ。
 本作なども「ダニー・ボーイ」あたりは情緒連綿たる佳演だと思う。原曲の良さも当然あるわけだが私は結構よく聴く。そしてコールマン・ホーキンスのスタイルというのは太平洋を渡って遠く意日本の地で演歌と折衷可能なほどの普遍性を持っていたことに不思議と感心してしまう。
 
 そういうところにまで思い至ると、格別熱心な音楽愛好家だったとは思えない件のご夫婦が「ハーレム・ノクターン」にジャズ的なものを感じ取っていたその感性は侮れないものだったのだと恥じ入る私である。音楽はやはり素直に聴くべきであってなまじの経験で変な先入観を持つべきではないと少々説教臭い終わり方だがこれは私自身に言い聞かせているのですよ。

追記1:鶴光のことに妙な拘りがあったが、もう一つ連想が働くことを思い出した。ある時期まで早朝ラジオで放送されていた松下電器提供の「歌のない歌謡曲」これのお約束がサム・テイラーとシル・オースチンだったですね。

追記2:その後LPレコードの餌箱漁りを続けた私はあるときプレスティッジ傍系のMoodsvilleに残されたリーダー作の再発盤を見つけた。同じリサイクルショップでこちらは1545円の値段が付いていた。サム・テイラーはジャズのフィールドに於いても一定量の仕事を残していたわけだが、この値段の差はリサイクルショップの抜け目なさを結構表していると思う。
(この件終わり)


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