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Hello Mary-Lou/Ricky Nelson(ハロー・メリー・ルー/リッキー・ネルソン) [音楽のこと(レビュー紛いの文章)]

 ある時同級生と世間話をしているうちに、私のような年代の者達にとって最大公約数的な「理想の生活」とか「幸福な家庭のモデル」みたいなものって具体的にはどんな風景なんだろうという話題になった。  あれこれ話しながらの落ち着きどころは1960年代前半あたりに製作されたアメリカ製ホームドラマに出てくる家庭のような光景ではなかろうかというところだった。「パパは何でも知っている」とか「可愛い魔女ジニー」とかいった類のコメディタッチの物語に出てくる中流家庭の光景だ。キッチンにはオーブンがあってでっかい冷蔵庫や電動式のミキサーがあって、流し台にはディスポーザーがあって、レザー針のソファが鎮座する居間の一角にはホームバーなんかがあったりもする。  寝ぼけ眼のパジャマ姿で二階の自室から居間に降りてきた坊主が欠伸をしながらでっかい冷蔵庫を開けておもむろに食い物を取り出す。でっかい窓越しに手入れの行き届いた芝生の庭を眺めながらピーナツバターを塗ったトーストをくわえ、ベーコンエッグの黄身をすすり、オレンジジュースをがぶ飲みする朝食って結構憧れだったよなあ、と、私と相方は変に想像を逞しくしてみたのだった。  そして居間のテレビではこんな歌手がこんな歌を歌っている。  恐らく今となってはこんな生活風景や家庭の空気は地球上のどこにも殆ど存在しないと思う。一部の人達の記憶の中だけにある失われた幸福とでも言うべきだろうか。異なる場所と時間軸の中でその日暮らしを続ける私は夢に見たことはあっても結局目にすることも、ましてや手にすることも出来なかったその生活を歌の中から一種、縁として嗅ぎ取るにとどまることになる。いい時代でしたよね、私には結局無縁だったけど。
Greatest Hits

Greatest Hits

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: EMI
  • 発売日: 2005/12/27
  • メディア: CD
 You Tubeなどを見ていると色々にカバーされていてアマチュアの投稿も大変数が多い。国民的愛唱歌の部類にはいる位のポピュラリティがありそうで、その後のベトナム戦争に始まる屈折や挫折をまだ知らない頃の野放図に豊かで伸びやかなアメリカの一面を私は幼少時耳にしたこの歌から確かに感じ取った記憶がある。  カバーも色々あるがことさら印象深いのが1986年ウェンブリーでのクイーンだ。  まあ何とも大仰にしてど派手な声。こうしてありきたりのポップチューンのカバーを聴いてみるとかえってフレディ・マーキュリーの資質や個性がはっきりと透視できる。外連見たっぷりの過剰にドラマチックな歌いっぷりにはまた何か、ヨーロッパの湿度感みたいなものを感じてこれはこれでまた一つの個性には違いない。  
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