Caravanserai/Santana(キャラバンサライ/サンタナ) [音楽のこと(レビュー紛いの文章)]
私はサンタナの特に熱心な聞き手というわけではありませんが、中学生の時分に初めて聴いたときから「キャラバンサライ」は異常に好きで、夏、特にここ数年は定番ソースとなっています。
北海道の短い夏は終わりましたが、冒頭の鈴虫の鳴き声は、終わった夏を回想させる働きがあるようで、今のこういう時節にマッチしているようにも感じます。
複数のパーカッショニストにポリ・リズムを形成させてメロディー楽器が対峙するバンド形式は古今を通じて色々な人たちが試みてきましたがその殆どは失敗作である中での数少ない成功例です。
今の時点で考えてみると、言葉本来の意味でのフュージョンとは、例えばこういう音楽を指しているのではないでしょうか。土俗的な打楽器群の蠢きを土台としてチカーノの混血性を帯びながらも圧倒的にロックであり、スピリチュアルな高みを提示しながらも世界観は見事に外側に向かって開かれており、明快なポピュラリティもあります。こういう、いい意味でのゴッタ煮感がサンタナの真骨頂なのでしょう。
映画、「アラビアのロレンス」の中のシークエンスを連想させるジャケットデザインは崇高で美しい。今となってはLPレコードを若い頃に手放したことを大いに後悔しています。
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私もサンタナは数枚しか聴いていないですが、やっぱり『キャラバンサライ』だけが突出していいなあと思っています。
他はあまりにもラテンラテンして軽く明るいですが、このアルバムだけは妙に鋭く渋いですね。
ニール・ショーン、グレッグ・ローリーのジャーニー組がいい働きをしていたりするんでしょうか。
by こぶし (2006-09-02 13:44)
コメントありがとうございます。
バンドメンバーの脱退が相次ぐ中で制作された作品ですが、メンツが流動的だったことがここでは吉と出ているように聞こえます。
優れたリーダーの資質というのは案外、率いるグループが調子の波に乗っているときよりも、むしろ求心力が低下しつつあるときにこそ発揮されるのかもしれません。全体を貫く統一感とストーリー性は数あるサンタナのアルバムの中でも筋が通っていて、いい意味での臨界状態や緊張感が持続されているところにサンタナのリーダーシップと、数あるサンタナのレコードの中でも際だった作品性が獲得できている根拠を感じます。
by shim47 (2006-09-02 23:06)