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爆睡の日々 [身辺雑記]

 私は生まれも育ちも北海道であり、若い頃に数ヶ月名古屋にいた以外には道外で生活したことがない。
 そのせいかどうかは知らないが、私は暑さに弱い。日中何かの活動をするのは特に構わないが、夜の暑いのにはほとほと弱る。

 会社勤めをしていた頃、勤務先は東京の新橋に本社があった。年に数度、本社出張があるのは大変イヤだった。私に言わせれば東京などというのは商売をするにはいいのだろうが生活する場所ではない。ああいう土地ではとても生きていく自信がない。
 例えば毎年4月頃の出張だと、羽田空港で降りて浜松町までモノレールに乗る。他の乗客に比べて私は特に厚着をしているわけでもないのに、滝のようにダラダラと大汗をかいている。顔やら首やらをハンカチでぬぐいながら辺りを見回してみるが同じような仕草をしている人はついぞ見かけた記憶がない。いつも私一人だけが暑さにへばっていたのだった。
 春でさえこうなのだから夏の出張ともなると尚更ひどいことになる。空気が普段呼吸しているものとまるで異質であって粘度や重さが明らかに自覚できる。暑苦しいやら息苦しいやらで、まるでオーブンの中に放り込まれたようで寝苦しいことこの上ない。出張の期間中は毎晩毎晩寝不足で田舎に戻る日を指折り数えていたもので、結局そういう体質は会社勤めの最後まで変わらなかった。

 私の住んでいる田舎町は、年間気温較差が六十度以上もあるとんでもない土地で、冬はとんでもなく寒いが夏にもとんでもなく暑い日が何日かある。
 今年、所謂真夏日は15日を数えた。過去最高の日数らしい。真夏日は年々増えているような気がする。寝付きの悪い夜もそれだけ増えていくわけだ。地球温暖化というのはこういう風に表面化してくる事象なのだろうか。

 だが今は既に九月である。ひとまず寝苦しい夜からは解放された。
今年になるまで余り意識したことがなかったが、実に快適な睡眠を満喫する日々だ。
夏が終わると寝不足の反動がくるのだろうか、我ながら呆れるほどよく眠れる。一体自分はどうなってしまったのかと心配になるほどよく眠れる。これは何か、健康上の問題でも発生したのではないかと知人に打ち明けてみると、実際はその逆らしい。

 医学は全くの素人以下だが、長時間睡眠できるというのは体力がいるらしい。体力という言い回しはなんか変ではないかと思うのだがそうでもないようだ。
 尾籠な話で恐縮だが、人間歳をとるに従って寝小便をしなくなるのはだんだん体力がついてくるかららしい。また、老齢になって眠りが浅くなるのは、睡眠中に尿意を覚えるかららしい。つまり、小便を我慢しつつ睡眠を継続するには体力が必要らしいのだ。
 目覚めると同時に尿意を覚えてトイレに行くのは確かに思い当たる節がある。とは言えなんだが納得できるような出来ないような話でもある。

 何しろ、思う存分眠れるようになったことは喜ばしく、私もまだ体力らしきものが幾らかは健全さを保っているようでもある。生きていくうちで本当に解放されるのは眠っているときだけのような気もするし。

 そういうわけでこのテキストを保存してから十分後の私は大イビキをかいている。
地球温暖化の懸念は来年まで先延べだ。睡眠の欲望はそれら心配事に勝る。とにかく過ごしやすい季節になった。

おやすみなさい。


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