フランケンシュタイン対地底怪獣 [映画のこと(レビュー紛いの文章)]
リアルタイムで見ることはできなかったが、子供の頃、バラゴンのソフビは私のお宝だった。
ゴジラの造形が王道であることをふまえつつ、こういうヤクモノ満載な容姿も捨てがたい。今見ても結構格好いいと思う。
当時の公開ポスター。枝葉末節だが、「地底怪獣」にふりがなのようにしてバラゴンと書かれているのでタイトルがややこしい。
フランケンシュタイン(と劇中では呼ばれる)の顔つきは後年の私にはなんとなく火野正平チックに見えなくもなかったが、現在改めて見直してみると何とも言えない。
若かりし頃の高島忠夫が準主役的キャスティングで大熱演する。特撮怪獣ものでは私にとってのお約束である佐原健二は出番が少ないものの存在感たっぷり。もう一人のお約束である平田明彦は残念ながらキャスティングされていない。
フランケンシュタインは、ハマープロ以来のお約束で一言も言葉を発しないでただ薄気味の悪い唸り声を上げるだけで何ら悪行をはたらくわけではなく、それどころか怪獣バラゴンを退治するヒーローであるはずなのに、徹頭徹尾クリーチャー扱いで世論はとっとと殺せの大合唱。ラストでは勝ち名乗りを上げて得意満面のところをいきなり地中から現れたタコに襲われて水中に没し、あえない最後で何とも気の毒な存在だ。
コミュニケートの手段を持てない異形の報われない生、というのが全編を貫く主題と見た。ある意味、キングコングの日本版というべきか。
私が所持しているのはだいぶ以前に買ったLDで、米国公開版が収録されている。国内公開版では異なる展開となり、タコは登場しないのだが私は見ていないので分からないがしかし、タコのシーンはいかにも取って付けたように唐突な印象を与える。それに幾ら何でも地面の底からタコが湧いて出てくるなんていう展開は無茶苦茶ではないかとも思うのだが。
劇中、可笑しく思えるのはエレキバンドの演奏をバックに嬉々としてゴーゴー(!!)を踊りまくる若い衆の扱われ方だ。
(1)テレビでその様子を放送されているところを見たフランケンシュタインが突然怒り始めてテレビを担ぎ上げ、病院の窓越しにテレビを放り投げてぶっ壊す。これは劇中、彼が悪意を持って行う唯一の破壊行為である。
(2)船上パーティーでまたしてもゴーゴー大会の真っ最中、水中に隠れていたフランケンシュタインが騒がしさに気づいて船に近寄り、船中を覗き込んだので船内にパニックが起きる。
(3)どっかの山中にあるリゾートホテルっぽい建物のボールルームとおぼしき場所でこれまたゴーゴーパーティー真っ最中のところを地底怪獣バラゴンが急襲。無惨なことに全員バラゴンの餌となる。
ゴーゴーが余程気に食わなかったのだろうかと思うくらい、若い衆の受難が続く。
もっとも、今の私もそういうオヤジになりつつあるので若い衆のこういう描かれ方は分からないでもないんですが。
私、コレ映画館で見た記憶があります。
資料で見ると当時2歳だということになりますが、そんなハズありません。
田舎のことですから、3本立てのように新旧入り混じった興行を見た可能性があります。
いずれにしろ小学校入学前だったと思います。
何故覚えているかというと、広島出身のお兄さんと見たからです。
「原爆落とされたけんゆーて怪獣ができるとこじゃ思われたらたまらんけーのぉ」
当時、原爆が何かも知らなかった私ですが、彼の悔しそうな顔を見てよっぽど良くない事なのだろうと強く印象に残ってます。
by だーだ (2007-01-10 22:22)
遅くなりましたが今年もよろしくお願いいたします。
フランケンシュタインは広島で生まれて東へ逃避行を重ね、伊豆のあたりでタコの餌食となって果てましたが、だーだ様は違う結末をご覧になっているはずです。
私の住んでいる北海道はというと、平成の始め頃、ガメラに荒らされたことがあります。
by shim47 (2007-01-11 23:38)
結末・・・覚えてないんですよね w
by だーだ (2007-01-12 17:02)