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町内慰安会のもたらす福音 [身辺雑記]

 本日は町内の慰安会があり、幕別町の某温泉で日帰り宴会の一日でありました。

慰安会自体は年に一度の恒例行事で、少子高齢化の進む私の町内会は殆ど老人会に近いものがあるのだが、それはそれなりに楽しい。

 ところで、かれこれ3ヶ月近く四十肩に悩まされている私だが状態は一向に良くならない。
http://blog.so-net.ne.jp/r-shim47/2007-09-24

 これまで医者から山のように与えられた湿布を貼り続けてきたが一向に回復の兆しが見えす、いい加減うんざり来ていた。
 今日の慰安会なども、痛い左肩をさすりながらの参加だったのだが具合の悪そうな様子は他人の目から見ても察しがつくらしく、同じ町内に住む鍛冶屋のOさん70歳(だったかな)の目に私の変な様子が幾らか気になったらしい。宿屋についてから四十肩の治療法についてのご高説を賜ることとなった。

 午前10時頃に目的の温泉宿に到着して風呂に入り、宴会場の座敷に戻ってから鍛冶屋のOさんのご指導の元、肩のストレッチを行ってみたが私の挙動が余程けったいに見えるらしく、慰安会にご参加の諸兄は口々に「もっとちゃんと腕を伸ばせ」とか「いい若いもんが情けない」とか口々に仰る。
 特段威張って言えたことではないが私だってもうあと数年すれば50の大台なんである。いい若いもんもないもんだ。まあそれくらい私の町内会の高齢化は進んでいるということなのだが。
改めて思うが、痛さというのは当人だけのものであって他人とは分かちようがない。そして四十肩を痛がる様子というのは何か余り深刻なものには見えないようだ。慰安会にご参加の方々には私が歯を食いしばってしかめっ面をしている様子が面白いもののように見えるらしい。

 一体何が悲しくて町内の慰安会でこんなことをしなくてはならんのかと思いながら言われるままにストレッチを続けていた私だが、鍛冶屋のOさんのご指導はご熱心を極めた。普段は結構コミカルなお方だが今日はやけにシリアスな接し方である。「四十肩なんていうのは動かしていれば治るんだよ」と仰るがやっぱり痛いものは痛いのであって、痛い箇所は動かしたくなくなるのが道理ではなかろうかと思う私はきっと幾らか憮然たる表情をしていたのだと思う。鍛冶屋のOさんは釈然としない様子で私のそばから離れて席に着き、宴会が始まった。

 ところで鍛冶屋のOさんは下戸の私とは大違いで仲々楽しい酒癖の持ち主である。決して悪い意味でなく、Oさんの参加する酒席は毎度大いに盛り上がる。
 宴もたけなわの頃、鍛冶屋のOさんは鼻の頭を赤くして私の隣へとにじり寄ってきた。
「いいか、四十肩なんていうのはな、動かしてりゃあいいんだ。怠けていたらいつまで経っても直らねえんだぞっ!」
目が据わっている。

 私は適当に相槌を打ちながらちびちびやっていたのだが、鍛冶屋のOさんの御説は私の肩口を小突きながらしばらく続いた。
 傍らで鍛冶屋のOさんの鼻息が荒くなり始めた、と、胡座をかいてちびちびやっていた私は腕を決められて引き倒されていたのだった。
 何が理由かは知らないが、業を煮やしたらしいOさんは70過ぎとは思えない敏捷さで私に飛びかかり、三角締めのような体勢で私の腕を決めていたのだった。
 「うぎゃーっ!」と私は本能的に叫ぶ。脳天から煙が上がりそうに痛かった。昨日今日のおつきあいではないが、鍛冶屋のOさんには柔道の心得でもあるのだろうか、今日の今日までOさんのこんな資質を私は知らずにいた。三角締めはがっちりと決まり、私は足をバタバタさせて悲鳴を上げること以外に抗いようがない。
 「痛いーっ!いたたたたたた!」
 「我慢しろ!我慢だっ!伸ばせば治るんだっ!」
 「ウーッ!いてえよう!」左の肩がメキメキと音をたてそうに痛んだ。あんまり痛すぎて涙が出てきた。いつの間にか三角締めを決められた私を取り巻くように町内会のおばさん達がギャラリーとなっている。
「我慢しなさい!我慢我慢!」とか何とか口々に喚きながら涙を流して痛がる私を指さして笑っている。結構面白そうじゃないか。それにしても一体何故、町内の慰安会でこんな痛い目に遭わなければならないかと少々切ない気分になった。

 三角締めから解放された私が涙を拭っていると鍛冶屋のOさんが「良く動かせよ、動かせばすぐ治るんだっ!」と私の背中を威勢良くばーんと叩いた。「いい若いもんが情けない声出すな!」(若くねえよ!)と、その後のOさんは宴会の間中悠然と酒を飲んでいたのだった。
 
 そして帰りの支度を初めてバスに乗り込むとき、私は持参していったナップザックを荷台に放り上げ・・・・




 あーら不思議、私の肩は朝よりもずっと高いところにまで上がるようになっていたのだった。数時間前に比べると、痛みもずっと少なくなっている。これは一体どうしたわけか。
後ろの席には鍛冶屋のOさんが陣取っていた。「ほら、さっきよりずっと良く動くだろうが!俺のおかげだ!嬉しいべ」と私の頭をベシベシと叩く。

 何だか奇妙な気分だが三角締めが効いたらしいことは事実のようだ。ひとまず鍛冶屋のOさんには感謝。

 
 

 


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コメント 2

だーだ

なるほどなるほど、おせっかいは日本のよき風習ですな。
by だーだ (2007-10-01 05:14) 

shim47

だーだ様 コメント有り難うございます。
まあお節介も善し悪しでありまして、『夜中中変な音を立てている、一体何をやってるの?』(私のステレオのことです)とか『尻軽そうな女が出入りしとるようだ』という噂が立ったりもします。
 先月は玄関口に鱈が一匹置いてあったのでちり鍋にして食いましたが誰がくれたのか未だに分かりません。
by shim47 (2007-10-01 12:51) 

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