Alfie (アルフィー) [映画のこと(レビュー紛いの文章)]
現在使用中の安物DVDプレイヤーは気まぐれな挙動を示す。
自分が買ってきたソフトで途中画面がフリースすることはないが、レンタルのDVDだと異常が起きるのは前に書いた。但し借り出してきたソフトが全てそうだとも限らない。ついでのつもりで借りてきたソフトだと案外すんなり最後まで見ることができることもある。
前回、黒澤明の「天国と地獄」が不調だったと書いたがおまけに借りてきたこれはすんなり最後まで見ることができた。
アルフィー スペシャル・コレクターズ・エディション [DVD]
- 出版社/メーカー: パラマウント・ホーム・エンタテインメント・ジャパン
- メディア: DVD
毎度毎度大上段に振りかぶった歴史的傑作ばかりというのはやはりいささか疲れるのでこういった軽めの娯楽を決め込むことでなにがしかのバランスをとることは多い。
軽薄なプレイボーイの行状記である。私のような者としてはなりたくてもなれなかった姿でもある。
主人公は大変身軽で自由な男だが、同時にそれは安らぎのなさでもあることをラストのモノローグで寒々しく白状する。この辺は現実の私自身と重なり合うところがあって身につまされた。
一見、ドライさ、軽薄さを絵に描いたような主人公の物語だがしばしばカメラ目線で語られるこのモノローグには所々に鋭い警句が織り込まれている。
曰く、「女の賞味期間は男よりも短い」
曰く、「どんなに物凄い美女にだって彼女に飽きた男がいた」
口説き落とすスリルだけを求めて継続的な関係の中で安らぎを生み出すような関係を育むつもりはないという女性観は私には理解しづらいが、そういう現実味のないエキセントリックな人物像が主人公である。次から次へと目まぐるしく女を乗り換えていく主人公は内面の空疎さには驚くほど無自覚で、その乾ききった内面を痛みとして自覚するまでの物語という言い方もできる。
長く心に残るような仕上がりではないが敢えて意図的にそのように製作されたもののようにも思える。期待もせずに観ていたが思わぬ拾い物だったとも思えるが、これもまた、最初からそういう風に受け止められるように意図されていたとも思える。
本作は元々1966年(だったかな?)に製作されたイギリス映画のリメイク版であるが私はこちらのほうを観ていない。主演はマイケル・ケインであった。
正直言って、私はこの映画を映画としてではなく、イギリス版のために映画音楽に関わったソニー・ロリンズのレコードによって知った。
リメイク版で使われるミック・ジャガーはどこかマッチングが今ひとつのような気がする。話題性はあっただろうが。
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