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2008年の正修会 [身辺雑記]

 例年の習慣に倣い、大晦日の深夜は正修会に出かけた。今年で喜寿となる母と二人での参加となる。
帯広市の東別院は、市内では現存する最古の建築物である。檀家の数といい、本堂の立派さといい、同じ浄土真宗の分派である西別院には及ばないがこちらはこちらで何というか、経過してきた時間の重みを感じる造作である。

 除夜の鐘を突く鐘つき堂は私の曾祖父が施主として土台の部分にその名前を刻まれている。大正5年に寄贈したものだ。今年も例年通り、百八つのために大勢が列をなしている。
 私はと言えば例年、その様子を遠巻きに眺めるに留めている。果たして自分は後年に何を残せるのだろうかと甲斐性のなさを顧みて情けなくなる時間でもあって結構辛い。

 本堂の入り口では例年通り年越しそばが配られている。檀家の方々が手弁当で段取りをしてくれているわけだが本来、私なども家族総出でこの中に加わるべき立場であるはずで、そうはなっていない今の身の上にはやはり忸怩たるものがある。

 今年の正修会は参加者が多かった。本堂に集まった檀家衆は昨年の4割り増しくらいだろうか。鐘をついてそばだけを食べて帰る人達を含めてだが全般にお行儀が昨年よりはよい。複数人でつるんで別院に来て鐘つき堂の前で騒ぐあんちゃん達だとか無料で振る舞われる年越しそばにああでもないこうでもないと身勝手な注文を付けるバカババアどもを今年は見かけなかった。世の中は幾らか、まともな方向に向かいつつあるということなのだろうか。

 勤行を唱和して輪番の法話を拝聴すると大体午前2時近くで、母はさすがに老齢だけあって居眠りを始めるがこれは致し方ない。
 法話の中で輪番は、例年清水寺で年末に行われる「今年の一文字」のことを取り上げた。清水寺の宗派が何であるのかを恥ずかしいことに私は未だに知らないのだが毎年大きく取り上げられるイベントだからなのか、同じ仏教徒としてわかりやすい話題として関心はあるらしい。

 諸兄ご存じの通り、昨年の一文字は「偽」であった。
このような文字が一年を現すような世相は全くもって恥ずかしく、情けないことだというコメントが報道されていたことを覚えている。
 この報道の前に私は雑談の最中にしょっちゅう「今年の一文字はやっぱし”偽”だよな」などと軽口を叩いていたが図らずもその通りであったわけで、内心、『偉い坊さんもお為ごかしみたいな話ばっかりじゃなく、それなりに世間を見ているじゃねえか』などと内心どこか自分の視点の正しさを得意がっていたところはある。

 法話の中で輪番は誰もが評論家になったような気分で他人を批判して溜飲を下げたがる様子に幾らかの苦言を呈された。’偽”は身の回りに無数にあるわけだが、それらは全て人の営為であって、”偽”を批判する多くの人々も無自覚なまま”偽”に荷担している場面は必ずあるはずであって、どこかで自分を省みるべきではないのかとのお話だったが全くその通りで、たわけた政治家達がバナナの叩き売りみたいに安っぽく連発する「身の引き締まる思い」を今夜はさせられましたです。


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xml_xsl

明けまして、おめでとうございます、(・!・)
2008年も、よろしくお願い申し上げます、┌|・.・|┐
とっても楽しい、機知・機微溢れた記事、楽しみです~*、
楽しい、お正月、まったりお過ごしください、(^。^)/
寝過ぎ!、お屠蘇呑み過ぎ!?、おせち食べ過ぎにお気をつけてね~*、
それから、陽が暮れ≠るまで・ても、どっぷり遊び過ぎてね!、♪└|∵|┐♪
by xml_xsl (2008-01-02 22:34) 

shim47

xlm_xsl様
いつもnice!をいただき有り難うございます。
それにも増して今回はコメントまで頂き、何とも嬉しいような面映ゆいような心持ちです。

あらためまして、明けましておめでとうございます。
私もxlm_xsl様の記事を今年も楽しく読ませて頂きます。
by shim47 (2008-01-03 04:20) 

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