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ベッサのカメラは終わりではなく始まり [カメラのこと]

 購入できるお金の当てもないのにライカ菌に感染した自分自身を観察しているうちに、あるやりとりを思い出したので書き留めておきたい。

 二年少々前のこと、ライカ菌の初期症状と考えられるレンジファインダーが気になって仕方のない時期があった。
デジカメは特にそうだが、一眼レフという形態に私はいつも疑問がある。あれは決して万能選手ではない。というか、万能選手である形式のカメラというのは実は存在しないと私はいつも考えている。
 普段の用途が適当な殴り撮りだとかスナップ写真ばかりの私にとって一眼レフは殆ど無用の長物に近い。あれが真価を発揮するのは一般的には望遠レンズを付けたときくらいしかないのではなかろうか。ミラーショックだとか画像の消失はやっぱり何の気なしに撮るスナップ撮影には向かない。

 とは言え、所有欲を満たしてくれるようなレンジファインダーの現役というのがこれまた殆ど皆無に近い。しつこいようだが貧乏人の私にとってライカは高嶺の花だ。最近ウェッツラー製のボディを拝借してからはっきりわかったが、私がカメラ欲しい病に罹ってから長く現役のライカだったM6などはあきらかに造作が安っぽく、長いローンを組んでまで欲しいと思えるような機体ではないのが残念なところ。機械いじりが本業である私はある時、店頭で触らせてもらったM6に大変疑問を持った。
 そりゃ、なんと言ってもライカである。腐っても鯛というか、そこら辺のレンジファインダーカメラなどよりはずっと精密感も高級感もある。しかしそのとき店頭でからシャッターを切った感想として、いろんな活字や口頭で絶賛されるほど国産機やその他メーカとの隔絶したタッチは感じられなかった。
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 多くのライカマニアの方々にとって、M6というのはかなり微妙な存在であるらしい。その操作感は古くからの愛好者にとっては零落したかつての貴公子を連想させるものらしい。「ここまで墜ちたか・・・・」と慨嘆させるほどらしいのだ。
 しかしだからといって見切りを付けたくなるほどにひどい出来かと言えばそうでもない。繰り返すが腐っても鯛なので、ロングセラーを続けてMシリーズの中では多分M3の次くらいに沢山売れた事実はライカの名前が伊達ではないことを物語っている。
 
 90年代にいくつかリリースされたレンジファインダーカメラのうち、私に買えそうでなおかつ長く愛用できそうなものは一つもなかった。そういうときに私は貧乏であるだけに慎重になる。色々あら探しをしてはけちを付けたくなる性分らしい。
 はたと気がついたのはフォクトレンダーというブランド名で販売されている一連のモデルだった。店頭でいじってみると結構悪くない。
COSINA フォクトレンダー BESSA R3A マットブラック 340633

COSINA フォクトレンダー BESSA R3A マットブラック 340633

  • 出版社/メーカー: COSINA
  • メディア: エレクトロニクス


 
 
 
「これでいいじゃん」と私は少しばかりうれしくなった。何も苦しい財布のやりくり算段に悩みながらライカ菌にうなされることはない、どうせ大した写真が撮れる腕前があるわけでもないのだし。

 そのうち小金を貯めて、ボディを買い込み、一緒に40mmくらいのレンズを一個だけ手に入れて・・・・というところが私の落ち着き先だろう、それで私にとってのフィルムカメラは終わりだろう、と一人で納得し、妄想を暖め続けていたわけだが、今回ライカを貸し出してくれたI君にいつぞやこの妄想を打ち明けたところ、厳しい答えが返ってきた。
 彼曰く、「それはねえ、終わりではなくて始まりなんだよ」と切り出した。「所詮ベッサじゃないか」と冷めた口調でI君が続けた。ベッサで納得できるわけがない、どうせ必ずライカが欲しくなる、レンジファインダーのカメラというのは最後にはどうしてもライカに行き着くようになっているのだ。所詮はベッサだ。所詮はコシナだ。造りなんかしれている。そのうち故障だらけになるに決まってる。満足なんかできっこない。結局はサブ機を買い込んだことにしかならない、長く使いたいのならライカだ。どうせライカが欲しくなる。それは時間の問題だ。所詮ベッサは気休めだ、妥協だ、誤魔化しだ。その先ライカが欲しくなったときには下取りに出すことになる、そういう道筋を辿るであろう。無駄遣いで終わるかもしれないぞ、ライカのMレンズを手に入れてこんなボディに付けてみろ、絶対今度はライカのボディが欲しくなるぞ、なるに決まっている。

 今思い出し見ると、このときのI君の口舌はその後も私を呪縛し続けている。2年前にはM6の疑問と貧乏を盾にこの恐るべき誘惑を私はかろうじて振り切ったのだが、近日拝借したウェッツラー製を触らせていただくと、買い込むお金もないくせに「確かにそうかもな」などと思い始めている。大体、買えもしないカメラのことで一体全体どうして私はこんなに心が落ち着かないで大騒ぎしているのか。馬鹿丸出しとはこのことだ。馬鹿丸出しなのにこのことを書いておきたかった。結局、どうやってオチを付けていいかもわからない支離滅裂状態のままこのテキストはおしまいです。

 (追記)ベッサをご愛用の方々、私の脳みそは現在タチの悪いライカ菌に冒されています。本件を読んでもどうか気を悪くなさらないでください。ライカ病患者のうわごとくらいに受け止めていただければ幸いです。

 

 
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