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La Dolce Vita/甘い生活(本筋には関係ないこと) [映画のこと(レビュー紛いの文章)]

 若い頃にこの映画を見て大変強い印象を受けた。私はどうも自分の考えをうまくまとめる能力に欠けており、映画そのものについては今でもうまく整理できていない。

甘い生活 デジタルリマスター版

甘い生活 デジタルリマスター版

  • 出版社/メーカー: アイ・ヴィ・シー
  • メディア: DVD

 

 

 

 

 

 世紀の大傑作であるようにも見えるし偉大なる失敗作と見えなくもない。すっかり評価の定まった作品よりもむしろ本作のようにいつまでも議論が決着しないもののほうに時代を超越する生命力みたいなものが宿るのが映画の不思議なところではなかろうか。

 巨匠といわれる映画監督にはキャリアの中にあって迷いの感じられる大作を残す人が少なくないように思う。テーマやメッセージの明確な次作8½はもっとタイトな構成で取っつきもよく、フェリーニの最高傑作に推す人が沢山いる。同感できる話ではあるけれどスクリーン上の虚構世界に観客を引きずり込む魔力めいたものは本作の方がより強いように私は見ている。

 ここから先はまとまりの点かない駄文の垂れ流しになるのでそれは別の機会にまわすとして、今日の私は本筋と関係ないことを昨日に引き続いて書き留めておきたい。ここでもカメラのことだ。

 主人公が連れて歩くパパラッチの兄ちゃんがどんなカメラを使っていたかを私はさっぱり思い出せないのだが、登場するヒロインの一人であるアニタ・エクバーグ(物語上は超グラマーで少しばかりおつむの軽いハリウッド女優の役)がイタリアの某空港に到着して芸能関係の報道陣が取材に殺到するシーンで彼らの抱えていたカメラがこれだ。

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 劇中では本体をブラケットに固定し、フラッシュ(バルブ発光するタイプ、時代を感じさせますな)とガングリップを付け実に物々しい重装備である。2眼レフは室内撮影とか屋外ではあっても三脚を使用した静止物の撮影に使うものなのだろうという先入観を私はある時まで持っていたのだが、こういうアクティブな用途にも使われていたのだと思うとちょっと意外な気がした。見るからに屈強な感じのする西洋人がごついブラケットを抱え上げてピントグラスをのぞき込む仕草はいかにも玄人という感じで実にかっこいい。

 そしてこの、ローライフレックスという非合理の塊みたいな物体は長らく私の物欲をくすぐってやまない。 実のところ、世の中に存在するありとあらゆるモノの中で私が無条件にかっこいいと思えるものの一つがこのカメラだ。これだけクソでかい図体でありながらレンズの交換ができない。左右がひっくり返って映し出されるピントグラス、オプションのプリズムファインダーなしではローアングルの撮影専用みたいなものだし、使うフィルムはブローニー版だから何をどうやっても撮影できるカット数は24枚止まり。今となっては独善性の塊だ。使いたいなら修行せい、嫌なら使うな、何が何でも欲しかったら買え、但し安くはないぞと言わんばかりの佇まいでいっそ清々しいというか潔いというか。

 設計時期が古いのだから仕方がない、当時はそれが当たり前だったのだというのは確かにそうだが、そんなシーラカンスみたいなカメラが21世紀の今でも現役として販売されているのだから私を含めて世の中には好事家とか物好きが絶えることはないということなのだろう。現代の公道をガソリンエンジンで動く自動車に混じって悠然と走る豪華絢爛な四頭立ての馬車みたいな存在である。

 しばらく前に気付いたが、私はどうも正方形のフレーミングが気になる性分のようだ。思うにこれは、レコードジャケットを眺めていた時間が長かったからではないだろうか。 こういう無駄と矛盾と不合理の集積のような、時代遅れの象徴みたいな佇まいのカメラはどこかでLPレコードに通底するところがありそうに感じられる。そして私はこういうカメラを持ち出して半日くらいその辺をぶらぶらしながら適当にその辺の風景を撮り歩くような場面の妄想に耽るのが結構好きだ。

 小金が貯まったらそのうち、ミニデジでも買い込んでみようかと思うことがある。お茶を濁すような買い物でしかないのだろうが本人は洒落のつもりでいる。画質どうのとか機能がどうのとかいうところからはずれた楽しみ方があってもいいっすよね。

Rollei MiniDigi 2眼タイプデジタルカメラ

Rollei MiniDigi 2眼タイプデジタルカメラ

  • 出版社/メーカー: ローライ
  • メディア: エレクトロニクス

 

 

 

 


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