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ピクソールのレコードクリーナーを買い直す [再生音楽の聴取環境など]

 LPレコードの手入れについてはマメな方なのかそれともずぼらなのかと考えてみると間違いなく後者だろうと自覚している。

再生音楽の愛好家たる者であれば少しは気の利いた、例えばキースモンクスあたりのクリーニングマシン位持っていてもバチは当たらないのではと時たま考えるが何しろ私は貧乏人である。そういう機材に10数万円なりを支払うことよりももっと安上がりな方法で洗浄は済ませ、浮いたお金でまたレコードを買ってくるほうが賢明だ、と、ご都合主義的に考えている。

実際、あるとき某放送局に勤務しておられる方から伺ったには、LPレコードの洗浄はよくある中性洗剤を薄めたものに2,3分ほど浸しておいてからベルベット生地のレコードクリーナーで溝に沿って軽くこすり、その後は真水ですすいで別の(洗剤の成分が付着していない)レコードクリーナーで水分を拭き取っているだけとのことだった。 真水とはいっても上水道の水であれば塩素の残留などが有りはしないかと疑問に思ったが元々回転の鈍い頭なのでつい聞きそびれたのが少々残念。

 考えてみれば放送局ともなれば所蔵しているLPやEPレコードの量も莫大なはずだろうから趣味人相手に市販されている高価なトリートメント剤等の消耗品にはおいそれと手を出すわけにはいかないのかもしれない。プロの現場というのは何事によらず結構荒っぽいもので、私が伺ったようなメンテナンスも必要条件を確実に、安価に満たすというプロの考え方には確かに適っていると思う。

 何でも自分に都合の良い方へと拡大解釈する悪癖は、雀百までの諺通り私の意識には深く染みついている。安くて効果のありそうなレコードクリーナーはと若い頃にあれこれ思案し、結局たどり着いたのはピクソールだった。

IMGP1248.jpg

プレイバックのためのターンテーブル上で針圧の数百倍もの荷重をかけることはしない。レコードのクリーニングにはそれ用の台を用意する程度の心がけはある。これは私のせめてもの矜持である。 

 蠅取り紙のようなローラーで盤面をこするという所為は実にデリカシーに欠ける乱暴なものに思えたが、実際に使ってみると粘着材の成分が盤面に残ることはなくかなり具合が良かった。なにより静電気の発生や湿った盤面に埃が付着して固形化するといった悩ましい副作用のない点が有り難い。伝聞だが、かのテラークがラッカーマスターだったかメタルマザーだったかのクリーニングに使用していたのがこのピクソールだったのだそうだ。実際、新しい粘着面などは貼り付いた状態でLPレコードをぶら下げることができるほど強力で、ローラーをかけるとバリバリと音を立てていかにも盤面の汚れをはぎ取っているかのような実感がある。

 そんなわけで私はもう大分長いこと蠅取り紙のご厄介になり続けていたのだがピクソールはアクセサリーメーカーのミルティに吸収合併されてしまった。よって現在、ピクソールというのは社名ではなくミルティの有する商品名という位置づけに変わったことになる。蠅取り紙式のレコードクリーナー以外には商品のなかったピクソールなので、ミルティの措置は大変有り難い。ただしいつまでも旧製品を使い続けられることはミルティにとっては大して有り難いことではないのが明白で、モデルチェンジを断行し、旧タイプのローラーは細々と供給し続けていたが数年前に製造を打ち切ったので当時私は慌てて結構な数量の予備ローラーを買い込んだ。

 私の買い貯めたストックが底をついたので先日やっと買い換えたが現行のピクソールはロールのサイズが変更されている。本体は従来通り使い続けてロールだけは現行製品という虫のいい考えは当然ながら受け付けてくれない。 貧乏人にとっては恐らく最も安価で効果のある手法なので余り恨みがましいことを言えた柄でもないのだが。

 新タイプになってからはローラーが小さくなった。蠅取り紙の全長も旧タイプよりは短いのが目視でもはっきりわかるのでローラーの交換頻度も旧タイプよりは上がる。価格は旧タイプから据え置きなので私の出費も微増といったところ。もしも最初からこのサイズの交換用ローラーであったとしたら、あるいはピクソール社の命脈はもう少し長らえていたのかもしれないなどとせこい想像を働かすw 

 ミルティには他にも色々と興味深いマテリアルがラインナップされているが、この手のチープな楽しみ方を常に残しておいてくれるのは英国のオーディオシーンの美点だと私は常々思っている。輸入元の東志(株)は他にも色々、渋めの輸入商材があって貧乏オーディオファイルにとっては嬉しい存在である。

http://www.tosy-corp.com/ 

 

 


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いっぷく

マメに手入れされているんですね、こういう作業はまとめてするとなったら大変なので少しずつという手入れですね。
うっかりするとカビなどはえたら大変なのでチェックぐらいはしたほうがいいかなと考えました、なにしろ死蔵というようなだけのものもあるので。

by いっぷく (2008-10-01 22:54) 

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