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What a Fool Believe/Doobie Brothers(ホワット・ア・フール・ビリーブ/ドゥービー・ブラザーズ) [音楽のこと(レビュー紛いの文章)]

 貧乏暮らしの日々ではあるが、それでも時たま買い物に行く程度の小金はないこともない。

ここ数年は若い頃と違ってCDを買うにも思いつきとか、行き当たりばったりでいい加減な選択をすることが多い。ケースを穴の開くほど睨みつけ、熟慮を重ねて財布の中身と相談してということがあまりない。若い頃には意識して遠ざけていたようなミュージシャンの音楽を聴くことも歳とともに増えてきた。素直に受け止めることができるようになってきたという意味で人間としての度量が増してきたというべきか、それともある時期までは許容幅を狭めることがある種卓見の持ち主であるかのように振る舞いたくて無理に気取っていただけのことなのか、いずれにしてもここ数年の変化それ自体にはある程度の自覚はある。

 青年期の私にとって、ドゥービー・ブラザーズは必ずしもストレートに許容出来るバンドではなかった。それは先に書いたように、ある種やせ我慢によって目を背けていた種類の音楽だったことを意味している。
 手前勝手な区切り方でいうと、バンドメンバーの移行があったりはしたせいか、同時期の米国西海岸を拠点とするバンドの対比でいうと、ドゥービーとスティーリー・ダンのどちらにより傾倒しているかはその人の音楽的嗜好にとどまらず、人格の内実をある程度反映する物差し足り得たのではないかと私は薄々考えていて、若い頃の私自身は疑いもなく後者だった。

 その嗜好が私自身の何を表しているかはさておき、ともあれ、現在の私は日曜日、たまたまふらりと入ったにブックオフでドゥービー・ブラザーズの、それもベスト盤を買い込んできてダラダラ聞いているようなオヤジになった。
 ことさら作品性を絶対視していた覚えはないが、ひとつひとつリリースされていたもののディティールをためつすがめつ重箱の隅をほじくり返ようにして聴くことがだんだん面倒臭くなってきたのだろう。

ベスト

ベスト

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: ダブリューイーエー・ジャパン
  • 発売日: 1998/05/25
  • メディア: CD

 

あらためて、通して聞いてみると遠ざけていたとは言いながら聞き覚えのある曲が結構多い。貧乏人の弁解みたいな話ではあるがこうしてベスト盤を一枚買う、というつきあい方が割合と妥当なバンドであるように思える。  シングルヒットがきっちり詰まったパッケージングで編集としてはよくできているように思える。中で一曲、What a Fool Believeという曲をしばらく前にラジオで聞いて若い頃のことを思い出したのであらためて聴いてみたくなってこのように中古盤を見つけ出してきた、といういささかせこい事情が実はある。  諸兄は既にご存知だろうが元々はこれに収録されていた。
ミニット・バイ・ミニット(紙ジャケット仕様)

ミニット・バイ・ミニット(紙ジャケット仕様)

  • アーティスト: ドゥービー・ブラザーズ
  • 出版社/メーカー: ワーナーミュージック・ジャパン
  • 発売日: 2006/07/12
  • メディア: CD
 元々のアルバム自体大ヒットしたそうだが、この曲はアルバム中での目玉チューンでもあったようでシングルカットされて若い頃私の周辺では随分方々で耳にした覚えがある。  私は英語の素養がさっぱりないのでタイトルについてうまいニュアンスが思い浮かばないが『それを信じてるなんてアホな奴だねえ』といった感じなのだろうか。  歌詞の内容は、以前別れた彼女と再会したある男性がよりを戻そうとしてしくじる。それで、時間をさかのぼってやり直すなんてことはできっこないんだよ、そんなことを信じている奴は愚かしい、というのが大意らしい。 私が学生の頃にふと耳にして何だか気になり、それから20数年経って最近、何かの拍子にたまたまラジオでこの曲を聞いて再び気になり、こうしてブックオフで中古盤を見つけてここしばらく何度か繰り返して聴いているというのは実はここで歌われているような出来事が、この間の私自身の身の上にあったからで、世間に充満する様々な人生模様のうちではゴマンとある話だが、それでもやはり当事者になってみれば何だかんだいってもきつい時間だったよなあ、と複雑な気分で当時を回想してみたりもした。  私自身がここで歌われているような愚かな恋愛観の持ち主だったことと、初めて耳にして歌詞の意味もわからずいい気分になっていた学生の頃には自分のそのような愚かな資質に気づいていなかったこととを併せると、私は二重の意味で愚かな奴だったことになる。何とも耳あたりのいいポップチューンの中に自分の愚かな一側面が歌われていたことに少々感慨めいた気分を喚起されたりもする。  動画の検索をしてみると、さすがにグラミー賞を受賞しただけあって随分色々と見つかった。 お年を召してからのマイケル・マクドナルドの歌いっぷりは高い音域が相当苦しそうで、スタジオレコーディングされた頃の感傷的な気分や都会的なソフィスティケーションは余り感じられないが、齢を重ねるとはそういう変化を余儀なくされるということなのかもしれない。迫力型の絶唱という感じ。  途中でソロをとっているギタリストがリー・リトナーであることに気づいた。 何故か登場してきた頃そのまんまのスマートさ、スムーズさで、プレイスタイルは全然変わっていない。 「おめえもそれ相応にオヤジになれよ」と、パソコンの画面を見ながら一人ごちている私の姿は先に書いたのとはまた別の意味で、さぞかし愚かなオヤジに見えることだろうw

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