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ブッカー・アービンのこと [音楽のこと(レビュー紛いの文章)]

 私はジャズ・ミュージシャンについてさほどえり好みが激しいという自覚はなく、割合と誰でも受け入れる方ではなかろうかと思うが少々ネガティブな記憶のされ方をしているうちの一人にブッカー・アービンがいる。

 私が20代の前半だった頃、赴任していた勤務先のある土地で親しくなった(と、私は勝手に思い込んでいるだけなのだが)某氏は随分造詣の深いリスナーで、コバンザメよろしく私は随分色々なことを教わったが、憶えている限りで唯一、実名を出して「俺はこの人は受け付けられないんだよなあ」と仰っておられたのがブッカー・アービンだった。
 それがある種の刷り込みとなっているのかもしれないが、その後の私にとってブッカー・アービンはその録音にクレジットされていることがレコードを購入する理由とはなり得ないプレイヤーとなったまま今日に至っている。

 音楽を聴く行為は限られた時間とお金の中でのことなので、あまり断定的な物言いも憚られるのだが、私がブッカー・アービンの演奏で記憶に残っているもののうちリーダーアルバムは全くない。サイドメンとして参加しているものについては二つくらいはすぐに思いつくのだが皮肉なことにそれらはどちらも更に強烈なリード奏者が共演しているのでせっかくの力演にも関わらず格落ちの印象を抱かざるを得ない。

一つ目がこれ
オー・ヤー(+3)(デラックス・エディション)

オー・ヤー(+3)(デラックス・エディション)

  • アーティスト: チャールズ・ミンガス,ダグ・ワトキンス,ローランド・カーク,ジミー・ネッパー,ブッカー・アービン,ダニー・リッチモンド
  • 出版社/メーカー: イーストウエスト・ジャパン
  • 発売日: 1999/04/21
  • メディア: CD
 重心の低いフロントラインだ。ブッカー・アービンにとっては屈指の力演だと思うがここではローランド・カークが更に凄い。


二つ目はこちら

ザ・クエスト(紙ジャケット仕様)

ザ・クエスト(紙ジャケット仕様)

  • アーティスト: マル・ウォルドロン,エリック・ドルフィー,ブッカー・アーヴィン,ロン・カーター,ジョー・ベンジャミン,チャーリー・パーシップ
  • 出版社/メーカー: ビクターエンタテインメント
  • 発売日: 2006/07/26
  • メディア: CD
本作については私がブログを書くようになる以前、Oops!に駄文をアップロードしたことがある。


3年前のテキストを今になって読み返してみると何とも恥ずかしい代物でしかないのだが、ここでのブッカー・アービンの立ち位置に対する私の見方は今に至るまで変わっていないことを再確認出来た。
 同じことを何度も書くのは無粋だが、やはりここでもエリック・ドルフィーが抜きん出て凄い。

 エリック・ドルフィーは何と言っても私が初めて接したジャズミュージシャンだったのでとりわけ強い思い入れを持っている。それだけに、このことは我ながら馬鹿ではないかと思うくらい何度も何度も折に触れて書いておきたいのだが、よりによってFire Waltzでドルフィーにソロスペースを一切与えないこのアレンジはきっと一生私の中にしこりとして残りそうだ。

 ブッカー・アービンに対する私の、何かしら否定的な気分の一番の根拠がこれではないかと常々思っている次第。全編いいソロをとっているのだけれど。

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